さて、この思春期という言葉と同時期に使われる言葉として「反抗期」という言葉があります。筆者は特にこの「反抗期」という言葉に着目しています。というのも、保護者から「うちの子、反抗期なので何を言っても反発されて、コミュニケーションを取ることが難しいです」といった相談が後を絶たないからなのです。
「反抗期」という言葉を使う場合、その内実として「子どもが反抗するのは、反抗期であることが原因だ」と思っている節があるようなのです。つまり、反抗期という時期だから、子どもは反抗していると思っているようなのです。
確かにそのような側面がないこともありません。子どもから大人へと体が変わる時期であり、ホルモンバランスの変化から、ちょっとしたことでイライラが出てくることもあるでしょう。また、先輩、後輩のように異年齢間での交流が始まり、そこから反抗心が芽生えるケースもあります。しかし、果たしてそれらだけが原因で子どもは反抗しているのかどうか、疑わしい面もあります。
反抗されることには、理由がある
反抗期が原因で子どもの扱いが難しいという親御さんに対して、筆者は次のように回答してきました。
「反抗されるということは、反抗されるような言い方をしているからかもしれません。もし反抗される言い方をしなければ子どもは反抗しません。思春期を迎えるまでは反抗するという概念がなかったため、嫌々やっていただけであって、以前も子どもは反抗したいと思っていたかもしれないのです。でも子どもは成長し、“ようやく反抗することができた”ということを意味するのではないでしょうか」
大抵、このような回答を聞くと、親御さんたちはとても驚かれます。子どもの反抗期に問題があったと思っていたのに、実は親の対応が間違っていたのではないかと言われたからです。
そもそも冷静に考えれば、反抗の前には、何らかの“アクション”がなければ反抗のしようがありません。その“アクション”とは「親からのある言動」ではないかということです。
筆者は、子どもの反抗期は子どもから親への“次のメッセージ”であると考えています。
「自分へのこれまでの対応と変えてほしい」
つまり「これまでのような子ども扱いではなく、大人として扱ってもらいたい」というメッセージであるということです。
もしそれが読み取れたならば、親はこれまでとは異なった対応をする必要があります。では、どのように変えていけばいいでしょうか。「大人として」とは具体的にどのような対応でしょうか。
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