鹿児島・旧大隅線「主力はフェリー」の交通事情 国分―古江間、鹿児島市対岸の人口減少エリア

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国有鉄道となってからは、都城から伸びてきていた志布志線と接続する志布志―串良間が1936年に完成。1938年には全線1067mm軌間への改軌も完成し古江線と命名された。けれども都城経由は遠回りなので、人の流れはやはり古江に向いていた。

太平洋戦争後の1961年になって、ようやく古江―垂水―海潟(後の海潟温泉)間が開業。航路との接続地点が鹿児島に近い垂水へ移る。海潟温泉―国分間が完成して全通。大隅線に改称され、日豊本線と直接、接続するようになったのは1972年9月9日だ。だが、それから15年も経たないうちに全線廃止された。

鹿屋から垂水経由西鹿児島への直通快速も走ったが、やはり人の流れは遠回りルートへは移らなかったのだ。大隅線の2週間後には志布志線も廃止され、これで大隅半島から鉄道が消えている。

代替バスは霧島市内で需要旺盛

今回は、鹿児島空港に近い国分から旧大隅線沿線のうち、戦後に開業した区間の公共交通機関の様子を見ることにした。国分駅周辺は、廃線時には国分市であったが、2005年には大隅線の駅もあった福山町などと広域合併し、霧島市となっている。

2023年9月現在の人口は約12万2000人あまりで、約58万7000人あまりの鹿児島市に次ぐ県内第2の都市だ。鹿児島空港も市内にある交通の便の良さから、京セラやソニーセミコンダクタといった先端企業も集まる工業都市として栄えている。

高校も集中しているため、朝のJR日豊本線国分駅は乗降でちょっとしたラッシュとなっていた。鹿児島中央―国分間には特急「きりしま」も含めて、朝7・8時台には毎時3本の列車が走る。

JR国分駅
高校生が多く乗り降りする朝のJR国分駅(筆者撮影)
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