鹿児島・旧大隅線「主力はフェリー」の交通事情 国分―古江間、鹿児島市対岸の人口減少エリア
7時08分に到着した普通列車からは、高校生が何人も7時16分発の垂水港行きの鹿児島交通のバスに乗り換えてきた。通勤客も次々に乗ってきて座席が埋まり、発車時には約30人ほどとなった。国分―垂水港間は鹿児島空港からの直通便4往復も含めて平日は1日7.5往復。ほかに桜島口折り返しが1.5往復と、鹿児島空港―国分駅前―京セラ国分間に6往復の直通便がある。
バスは市の中心部の商業地帯を抜ける。Aコープ前や迫田で、まず通勤客が一斉に下車。すぐ近くに見える、京セラの鹿児島国分工場へと向かった。この工場が操業を始めたのは1972年10月で、大隅線の開通直後だ。線路は工場の前を横切っていたが、金剛寺駅も銅田駅も門からは遠く、国鉄は通勤輸送に励もうとの姿勢は見せなかった。
一部の高校生は7時30分に着いた検校橋で降りた。しかし、この付近には高校はない。どうやら7時32分に出る福山高校(旧福山町)行きに乗り継ぐようだ。大隅線にも大隅福山駅があったが、海岸沿いに位置し、台地上で高校などがある中心部の牧之原地区からは離れていた。
交通の拠点は垂水港
垂水港行きは検校橋からずっと、鹿児島湾に沿って国道220号を走る。桜島の偉容が眼前に迫り、風景は美しい。亀割峠を越えると旧福山町だが、数は少ないながらも利用客は途切れない。しかし台地の崖下の狭い平野であるため、人家は少ない。
大廻の集落を過ぎるとそれは顕著になり、やがて垂水市へ入る。しかし景色はそう変わらず人口の少なさがうかがえる。それでも時々現れる集落から1人、2人と客が乗ってくる。
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