「脂の乗った100円サンマ」が戻らない根本的原因 不漁のままなのに「豊漁」と錯覚してしまうワケ
次のグラフは北海道周辺におけるニシンの漁獲量推移を示しています。グラフを見ると1980年半ばに突出して漁獲量が増えた年があります。しかしながらニシンには漁獲枠がなく、沖底(沖合底びき網漁業)が大量に漁獲数量を伸ばし、翌年以降は再び減少してしまったことが読み取れます。貴重な卓越級群をつぶしてしまったのです。
これは、沖底が獲りすぎたのが問題の本質ではなく、それを止める資源管理の仕組みがないことにあります。
サンマはどこにいるのかご存じですか?
上の図をご覧ください。左のデータは上から2003年・2013年・2023年と10年ごとの資源調査のデータを表しています。円の大きさが資源量を表し、赤が1歳魚、青が0歳魚となっています。サンマの寿命は約2年。東から西へと回遊してくるイメージです。10年単位で見ても、資源が大幅に減少していることがわかります。
日本に近いほうから1区・2区・3区と分かれています。左下の2023年のデータでは1区にはほとんど資源が分布していないことがわかります。これは6~7月頃の調査データなので、実際には下図のように秋が深まるにつれ日本のEEZ(排他的経済水域)に回遊してくるはずなのですが、ほとんどそうなっていません。
日本のサンマ漁は、EEZの外側の公海上での漁獲量が95%(2021年)占めています。わかりやすく言えば、日本のEEZ内での漁獲はほぼなく、上図2区の公海上での漁で、ほぼ終了しているのです。公海上には、中国・台湾といった外国漁船が操業しています。
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