最後にサクラを使ったウェットでのブレーキングテストを行った。ここではeプライマシーと某メーカーのエコタイヤの相対比較となった。短い距離を時速70㎞まで加速してからフルブレーキを行うため、アクセル全開でスタート。比較用タイヤはVDC-ONにもかかわらず派手なスキール音とともに発進するのに対して、eプライマシーは何事もなくダッシュを始める。
そこからフルブレーキング。eプライマシーは初期制動から安定した減速Gで低燃費タイヤを感じさせない安心感だが、比較タイヤはブレーキを踏んでから一瞬“間”を挟んで減速Gが立ち上がるうえ、ABSの介入も多い。肝心な制動距離は、eプライマシーが比較用タイヤの約20%手前で停車。クルマの位置でいうと車両1台分以上の差である。
試しにeプライマシーの大人4人フル乗車で同じテストをしてみたら、1人乗車の比較用タイヤとほぼ同等の制動距離だった……。
ぶつからないかを分けるレベル
続いて、残り溝2mmまで減らした状態で同じテストを行った。当然、新品時よりも制動距離は約20%伸びているが、比較用タイヤとの差は何と約30%以上。クルマの位置でいえば車両2台分以上である。
eプライマシーの絶対的なウェットグリップの高さに加えて、性能の落ち幅の少なさも証明されたわけだが、これを日常の走行シーンに置き換えれば、雨の日の急ブレーキで前のクルマにぶつかるか、ぶつからないかを分けるレベルといえるだろう。個人的には現時点で発売されている市販タイヤの中では、ある意味「最も万能なタイヤ」と呼んでもいいと思った。
「いいクルマはタイヤの性能に依存しない」といわれるが、実際はタイヤの性能によってクルマの性能は大きく変わる。ミシュランは以前から、「道を選ばず」「走る状況を選ばず」「ドライバーを選ばず」「他の性能を犠牲にせず」といったタイヤづくりに定評があるが、今後は「サステナブル」も重要な要素となる。
そう、eプライマシーを装着することでユーザー1人1人が原材料使用料や廃棄タイヤの抑制、CO2排出量抑制に寄与できるのだ。ちょっと大げさに聞こえるかもしれないが、「タイヤ選びで世界が変わる」、そんな可能性を持つタイヤの誕生である。
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