怒り心頭の「パルコ問題」、今後は投資家として対処--森章・森トラスト社長
話をするのは四半期ごと パルコに優しすぎた
--これまでも、パルコに言うことを聞いてもらえなかった部分があったのでしょうか。
実際は逆で、われわれが優しすぎた。それに、接点もなかった。うちは好立地の場所に複合施設を造るから家賃が高い。パルコが狙っている賃料水準と違う。だから、条件が合わない。結果的に(共同事業は)汐留くらいしかない。ただ、われわれも不動産のプロだから、相談されればアドバイスはしますよ。
--あまり相談する機会もなかった?
すべて事後。四半期ごとの決算の後に言いに来るだけ。たとえば、浦和(の店舗購入)なんて相談されれば「やめろ」と言った。低い金利で借りて、高い家賃のところを買った。つまり、金利のレバレッジで儲かっただけ。でも、それは同時にバランスシートを崩しているから、ほかの経営指標は落ちてくる。だから、浦和を買ったときに、ある外資系ファンドが株を売ってしまった。そのうちの一部をイオンが買った。
パルコはすでに蚊帳の外 投資家としてネジを巻く
--パルコをめぐって、今後はどのようなシナリオを描きますか。
政投銀がどこに転換社債を売るのか、ということだろう。もともと何もイメージしないで買うわけがない。われわれなのか、イオンに売ってしまおうと思うのか。あるいは第三者か。いずれにせよ、イオン、政投銀、森トラストの話。パルコはもう場外だ。それを理解しないとまずい。
パルコはわれわれが親代わりだったから、社会教育を受けていない子どもみたいなもの。その結果どうなったかといえば、事実上、自分たちの会社を売っちゃったのと同じ。それなのに会見で「独立を守った」とか言っている。だから、こちらも気楽になった。これからは投資家として接する。投資家の目的は高く売ること。そのために企業価値を上げろと、ネジを巻かないといけない。