怒り心頭の「パルコ問題」、今後は投資家として対処--森章・森トラスト社長
──どう巻きますか。
パルコはイオンと業務検討委員会を開くわけでしょう。ならばイオンの力を借りたほうがいい。パルコ+イオンではなく、パルコにイオンの力をプラスするということだ。
うちは都心型のパルコだったから魅力を感じたけれど、最近はいちばん肝心な都心をサボって、どんどん地方に出店しており、パルコの特長が形骸化している。少子高齢化の中で客層も変わってきている。パルコ自身も間口を広げないとダメなので、ほかとくっついたほうがいい。逆に、パルコをくっつけたいという会社もある。パルコ側から見て、イオンはいちばん距離が遠い。だからこそ、イオンはパルコが欲しい。
パルコからすると、三越のそばに出店するのがいいらしい。客層が食い合わないし、親子で行くことができるから。高島屋にしても、百貨店プラス都市開発で生きていく。彼らからすると、パルコのような業態がもう一つあってもいい。合従連衡が続くこの数年間は、パルコにもまだ賞味期限がある。
超高層マンションは日本には向いてない
--本業に話を移します。森トラストの物件で東日本大震災による直接的な被害はありましたか。
前期から仙台で「仙台トラストシティ」が稼働しているが、被害はなかった。複合施設になっていて、オフィス棟は高さ180メートル、住宅棟は100メートル。耐震設備は最新のものを導入しており、前者を制震構造で、後者を免震構造で建てている。オフィス棟の上階はホテルになっているが、什器はまったく落ちなかった。
今の建築基準法にプラスアルファした水準で建てていれば建物は大丈夫だということが、今回の地震でわかった。ただ、免震構造だと、建物が大丈夫でも、大きく揺れるから中がダメになる。停電するとエレベーターが使えない。ガスも復旧に時間がかかる。そうした点から、個人的には、大都市で超高層マンションを建てるのは問題があると思う。