「近いところに住んでいても、連絡が取れていたり元気にしていたりすれば、わざわざ家にまで上がらなくても安心してしまう部分はあるんじゃないでしょうか。それこそ、距離が遠ければなかなか様子は見に来られないでしょうし、親が部屋を見られることを拒むことだって考えられますし、すべての親子の関係が良好であるわけもありません。依頼者の方は後悔しているとは言いつつ、どこか淡々とした印象を受けました」(以下、同)
口にしないだけで、依頼者と両親の間にも何かしら事情があったのかもしれない。
世代でモノに対する価値観にギャップ
高齢となった親の実家によく生じる問題がモノの多さだ。月に約130軒のゴミ屋敷の片付けを行うイーブイの二見氏は、「モノに対する価値観のギャップ」を多くの親子間に感じるという。
「年配の方には“モノは捨てずにとっておくのが当たり前”という価値観があるように思います。昔は今みたいにミニマリストなんて言葉もなかったでしょうし、そういう考え方すら世の中にまだなかったはずです。モノを捨てるという行為に馴染みがないので、必然的に家の中はモノであふれていきます」
だが、年代が下がるにつれてモノに対する価値観は変わっていく。モノに重きを置かなくなると言えばいいだろうか。
「逆に若い人たちは、“捨てる前提”でモノを買っているように思います。だから、高い車も買わなければ、高いブランド品を持っているだけですごいみたいな発想にならないですよね。これって、昔の人は終身雇用制度でガチッと会社に固められていたことも影響していると思うんです」
年功序列で出世が決まっていく風潮から成果主義へと移りつつあり、転職することが若い世代では当たり前の世の中。フリーランスという働き方も珍しいものではなくなった。
形あるものでもいつかは変化し、なくなる。だから、形は重要ではない。そんな価値観が根付いてきたように思うが、高齢者には基本的にそれがないのだ。
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