アンジャッシュ「渡部ロケハン」が盛り上がる必然 逆風の中で渡部&チームが見せる執念

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渡部氏は、この『渡部ロケハン』によって「自分の進むべき道が決まった」と話す。

活動自粛から復帰後の渡部氏には、どこかしら悲壮感が漂っていた。だがソマ氏は番組を続けるにつれて、渡部氏の視聴者は渡部氏の悲しげな姿を見たいのではなく、ニーズは別のところにあることに気がついたという。

「コメント欄とか反応とかを見ると、渡部さんの悲痛な顔はあまり求められていないと気がつきました。今は『渡部ロケハン』においては、渡部さんを応援してくださる方が多いフェーズになっているので、笑顔満開の渡部さんのほうがいい。とくに動画のサムネイルには、渡部さんが笑っている顔を使いたいんです」(ソマ氏)

シーンに合う音楽も、徹底的にこだわる

ソマ氏は映像編集の際、音楽に合わせて作業することを心がけているという。テレビ業界の音効(映像の中で使われる音を整える仕事)にも細かい注文をしてきたという彼は、シーンに合う音楽を絶妙にチョイスしていく。

ソマ氏が『渡部ロケハン』において「これ以上の作品は無理だ」と語るほど、数々の奇跡が連鎖した「庚申塚・大塚編」もまた、音楽とリンクさせた力作だった。

大塚編のエンディングも見どころだ(画像:アンジャッシュ渡部がいつか地上波のグルメ番組に出ることを夢見てロケハンする番組/YouTubeより)

「スナックで出逢ったさいとうはるかさんの『ヒロイン』という曲をエンディングで使ったんですけど、ロケ終わりに彼女の曲と歌詞を送ってもらったんです。その曲と歌詞からこういう編集がしたいなとアイデアが浮かんできて、お魚屋さんで出会った方たちの話ともあわせて、制作したのを覚えています」(ソマ氏)

そうした音楽へのこだわりについては、佐藤大輔氏の影響もあるかもしれない。佐藤氏は、総合格闘技『PRIDE』、『DREAM』『RIZIN』の映像制作に携わり、煽りVTRというジャンルを確立させた伝説の映像ディレクターだ。

「カルチャーをミックスして映像制作されるところなど、尊敬してます」というソマ氏だが、彼自身、すでに佐藤氏に匹敵するようなすさまじい執念と技術を、この『渡部ロケハン』で開花させている。

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