対中輸出依存から脱却を図るとき、そのお手本となるのが、オーストラリアでしょう。
オーストラリアは一時、対中輸出依存度が40%近くに達していました。しかし、2020年から中国の経済報復をうけ、石炭などを輸出できなくなったことから、日本やインド・韓国など他国への輸出を増やすことで危機を回避しました。中国による対オーストラリア経済報復は失敗に終わったといわれています。韓国もこうした輸出先の多角化が求められています。
実際、韓国は2022年の対中輸出が4.4%減少したかわりに、中国以外への輸出が9.6%増加しています。韓国は、中国以外への輸出拡大へ軸足を移しています。
こうした動きと連動するように、韓国国内では対中感情が悪化しています。例えば、中国人による韓国の土地や住戸の爆買いが一因となって不動産や住宅価格が高騰していることや、前述のTHAAD配備に対する中国の経済報復、新型コロナウイルスが武漢から発生したことへの反感が高まっています。
そして現在の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は、日米のシー・パワー陣営へ回帰しようとしています。韓国はいま、長らくつづいた「対中依存」から「脱中国」に舵を切ろうとしています。
日韓の地経学的攻防は終息へ
日韓の関係は、韓国が「歴史」カードを切ることで悪化し、これに対し日本は「経済」という地経学的なカードで対抗します。
韓国が持ち出す歴史カードには、徴用工問題(日韓併合時代に徴用工として日本で強制的に働かされたと主張する韓国人が日本企業に損害賠償を求めた訴訟問題)や慰安婦問題(戦時中、日本軍が慰安婦を強制連行したとする問題)があります。
しかし、徴用工問題は1965年の日韓請求権協定によってすでに解決されていて、慰安婦問題も2015年の日韓慰安婦問題合意で解決済みとされています。
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