銀座の天一・食中毒騒動に「天下一品」が見せた好守 巻き込まれ風評被害も、危機対応の妙が光った
勘違いを招く原因は、われわれメディア側にもある。今回の食中毒をめぐっては、ネットニュースの見出しとして、「銀座 天一」や「天ぷら『天一』」ではなく、単に「天一」とのみ書かれた記事もあった。
記事のタイトルだけを見て、本文は読まないユーザーは意外と多い。ネットメディアでは技術的制限や、閲覧数を伸ばす戦略として「字数を削る」ことは珍しくないが、今回のように誤解を招きかねないケースでは、どうにかして業種もしくは正式名称を盛り込むべきだっただろう(その想いから、本記事のタイトルは両方を盛り込んでいる)。
過去にも「巻き込まれ型の風評被害」は発生
今回は「天一」が話題になったが、同名や類似名の企業による「巻き込まれ型の風評被害」は、過去にも存在した。
たとえば、ハンバーグチェーン「びっくりドンキー」の運営会社は、1987年から商号が「アレフ」だが、のちにオウム真理教の後継団体が同名になったことから、死刑執行など、ことあるごとに注目を集めてきた。同社の公式サイトには、「小社『株式会社アレフ』は、オウム真理教及び同教団の『アレフ』と呼称する団体とは一切関係がありません」と明記されている。
カップ麺の「ペヤングソースやきそば」を出しているのは、群馬県の「まるか食品株式会社」だが、広島県にはイカフライなどを製造する「まるか食品株式会社」がある。2014年のペヤング虫混入事案では、広島のまるか食品が「別会社」とのコメントを公式サイトに掲載して、こちらも話題になった。
このように、名前が似ていることによって、あらぬ影響を受ける可能性はある。どれだけ自社がコンプライアンスを順守していても、ひとたび勘違いされてしまえば、コントロール不能になってしまう。
そんなときに、すぐさま「関与の否定」を行い、拡散できるか。メディアとの関係性も含めて、平時からの環境づくりが、被害を最小限に食い止める。あなたの会社も、いつどのような形で、巻き添えになるかわからない。その可能性を視野に入れつつ、リスクを頭に入れておいても、損はないだろう。
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