銀座の天一・食中毒騒動に「天下一品」が見せた好守 巻き込まれ風評被害も、危機対応の妙が光った

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「天一」は100年近い歴史を持つ天ぷら店だ。公式サイトによると、同社は昭和5年(1930年)創業で、「戦前より政財界をはじめ、武者小路実篤、志賀直哉など白樺派のサロンとして親しまれるなど、内外の文化人に多く愛されて参りました」という。現在も銀座三越店のほか、日本橋室町店、日本橋高島屋店、新宿伊勢丹店などを構えている。

そんな老舗をめぐる潮目が変わったのが、9月16日。写真週刊誌「FLASH」のウェブ版である「Smart FLASH」に、被害者の体験談が掲載され、詳細が見えてきたからだ。詳細はFLASH記事に任せるが、被害者が水の異臭に気づき、店員に告げるも対応せず。体調が悪化するなか、夫が110番通報。店側が呼んだ救急車は、1時間近く過ぎてからの到着だったという。

なお9月18日には、同店が入居している銀座三越も「食中毒事故発生に関するお詫びとお知らせ」を公式サイトに掲載し、改善が適切に行われたとして、すでに営業再開していると伝えている。

天一の発表文を読むかぎり「洗浄中のポットから、水を出し間違えてしまった」かのような印象を残したが、体験談をあわせ読むと、ちょっと事情が変わってくる。発表文では再発防止策も挙げられていたが、ネットユーザーからは「ミスではなく、意図的に行われた可能性はないか」「だとすれば、衛生体制を改善したところで、根本的な解決にはならないのでは」といった指摘が相次ぎ、さらに不信感を招く結果となっている。

また、9月19日には、聯合ニュースやハンギョレといった韓国メディアから、被害客は韓国人であると報じられた。各社日本語版によると、被害者は、店側が韓国人の客だと知って故意に行った、と主張しているという。また中央日報は、韓国外交部の当局者が「現地警察に迅速かつ公正な捜査を要請した」と明らかにした、とも伝えている。いずれも真偽は不明だが、「天一 銀座三越店」をめぐる話題は、しばらく収束することはないだろう。

「天一」が愛称のラーメンチェーン「天下一品」も対応

そんななか、好印象を残しているのが、「天一」の略称で親しまれる、ラーメンチェーン「天下一品」の対応だ。「天一 銀座三越店」の営業停止処分が出た9月8日付で、天下一品公式サイトには「この度、ニュースにあがっております『銀座天一』様の一件につきましては、弊社とは一切関係がございませんので、お知らせ申し上げます」と掲載された。

(画像:天下一品公式サイト)

「天一」は「株式会社天一」、天下一品は「株式会社天一食品商事」が運営しており、そもそも資本関係すらない別会社だ。しかし、「天一といえば『天下一品』」と想起する消費者も多く、混同していたというSNS投稿も多数見られる。

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