銀座の天一・食中毒騒動に「天下一品」が見せた好守 巻き込まれ風評被害も、危機対応の妙が光った

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わずか64文字で、即座にピシャリと否定する。天下一品は、素早い対応によって「勘違い炎上」を回避したわけだが、その背景には、常日頃から危機管理体制が整えられていたこともあるようだ。当サイト(東洋経済オンライン)でも連載している、ラーメンライターの井手隊長さんは、Yahoo!ニュースに配信された「天下一品」の声明を伝える記事に、以下のコメントを残している。

「『天下一品』はもともと我々メディアの記事に対して『天一』と略すことは避けてほしいとしてきています。『銀座天一』と混同してお互いに迷惑がかかる可能性があるからということでしょう。今回はまさにそのパターン。今回対応が早かったのも容易にこの流れが想像できたからで、危機意識の強さが迅速な対応に表れている」(井手隊長さんのYahoo!コメント) 

井手隊長さんが指摘するように、平時から「略称による混同」を意識していたからこそ、スピーディーに反応できたのだろう。いざというときに、ブランドを維持できるか否かは、企業の生命線になるのだ。

「勘違い炎上」が起こりやすくなっている背景

「勘違い炎上」の可能性は、インターネットが普及するにつれて高まっている。何もないことを願いたいが、いざ巻き込まれてしまったら、罪のない企業でも、飛び火による被害を受ける可能性は多分にある。考えられる理由を、いくつか挙げてみよう。

まずは、X(旧ツイッター)の「トレンド」だ。直近で多数投稿されているフレーズが出てくる機能だが、熟語などの場合、たまに固有名詞でも一部のみ表示されることがある。具体的には「銀座 天一」が「銀座」「天一」、どちらか一方のみトレンド入りする可能性があるのだ。

もしトレンド欄に「天一」「食中毒」「営業停止」と並んでいたら、早とちりする人が出てきてもおかしくない。しかし、この時点で声明が出ていれば、「天下一品が否定している」ことも、同時に拡散される。すぐに「ラーメン屋とは無関係だ」と伝わるだろう。

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