マネージャーというと通常女子で、男子マネージャーはほとんどいない。一方、女子部にはマネージャーがいないことが多い。「なんで男子部にだけ女子マネージャーがつくのだ……」と、何となく「男子部の女子マネージャー」という存在に、男性への媚び的なものをつなげて考え、批難したいような気持ちがあったのです。
社会人になり、妊娠や出産をきっかけに、女性が不利になる職場の問題を考えていると、「働く女性を巡る問題はサッカーと似てるな」と思うようになりました。
高校入学直後、私は男子だけのサッカー部の門を叩きました。初めは男子と一緒に練習していたのですが、小学生ならともかく、高校生。体格も体力も違う中で、別にスクールで鍛えてきたわけでもない私が、男子と同じ練習をするのは無理がありました。ましてや、実力で評価されることになったら、試合に出られるわけがありません。
長い間、サッカーが好きな女子にとって、サッカーと関わっていく主要な選択肢は、男と同条件で戦って圧倒的に不利な立場に置かれるか、マネージャーになるしかなかったのはないかと思います。これは総合職か一般職かでどちらを選んでも、女として活躍することが難しかった、少し前までの日本の会社の状況に似ていると思います。
高校生だった私はやがて女子部員を集め、サッカー部の女子部門を立ち上げました。女子だけで練習するようなり、当時できたばかりの女子のフットサル大会に出られるようになりました。
ただ、大学に入ってからは、再び女子が気軽にサッカーをする機会を見つけるのは難しくなりました。今でこそ、なでしこジャパンは有名になりましたが、やはりサッカーは圧倒的に男のスポーツだった期間が長く、女子だけの世界にはお金も人も、流れてこなかったのです。ビジネスの世界と同じように。
男女ミックスゲームで変わる女性の立ち位置
そういう状況の中で、私たち女子プレーヤーの最大の活躍の場になったのが、フットサルの「ミックス」というルールを使ったゲームです。ミックスの試合では通常、5人のプレーヤーのうち、常に2人以上の女子プレーヤーが出場している必要があります。さらに、女子が得点すると2点や3点になる大会もあります。
当初多くのミックス大会で、多くのチームは女子を集めるのに苦戦して、仕方なくメンバーの彼女とかマネージャーに、おニューのウェアを着させて、万が一ボールがぶつかったら得点が加算されるからと、ゴール前に立たせていました。フットサルにオフサイドはありませんので。でも、私が見てきた限り、こういった「女子がお飾り」のチームは、どんなに残り3人の男子プレーヤーがうまくても、ちょっと真剣にプレーをしてきた女子プレーヤーがいるチームに勝つのは相当難しいです。
ミックス大会が広がるにつれ、ただわけもわからずお飾りのように立たされていた女子たちも練習するようになり、男子も女子をしっかり育てたほうがチームの総合力が上がることに気づき、レベルの高い男女混成チームが増えてきたように思います。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら