「高校浪人、大学3浪」就職後に再受験した彼の苦闘 30歳で早稲田大学に合格した彼の現在は?

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国立大学の薬学部を夏に退学した彼は、予備校に入って半年間必死に勉強し、力試しで受けた私立の兵庫医科大学に見事、一般受験で合格することができました。しかし、授業料の減免は認められなかったため、金銭面の問題で入学を断念します。

「大学を中退して半年で私立の医学部に受かったから、来年こそはいけるなと思い、福岡県で浪人をしました。すると27歳の年は、旧帝大の医学部でもA判定が取れるようになったんです。

旧帝大の医学部にも、本当に受かるかもしれないと思いました。今年ダメだったら、諦めて就職しようと思い、すべてをかけて挑みました。結果、センター試験でつまずいてしまい、東北大学医学部に出願したものの、落ちてしまって受験を諦めました」

人生でいちばん勉強した1年半を経て、諦めがついた彼は27歳で社会人になります。

彼は東京に上京して通信系の会社に就職し、29歳まで営業を2年間続けました。

コロナで受験の世界に引き戻される

しかし、ここで彼を受験の世界に引き戻す出来事が起こります。それが、新型コロナウイルスの流行でした。

30歳になった年、ちょうど日本でもコロナが流行し、仕事どころじゃなくなったけいぜとさん。3月に退職した彼は、9月まで半年間実家に戻り、家にお金を入れながら目的のない日々を送っていました。

「ニート生活を送っていたのでどうにかしないといけないと思い、改めて将来のことを考えました。そう考えるようになってからある日、Instagramを見ていたら早稲田大学人間科学部の広告が出てきて、面白そうだなと思ったんです。

通信会社で働いていたので、医療系の授業に興味が出て、データ科学の分野を勉強していきたいなと思っていました。働きながらお金を貯めて早稲田の人間科学部に入ろうと決意しました」

浪人 早稲田
けいぜとさんは30歳で早稲田大学を目指した(撮影:今井康一)

彼にとってさらなる追い風となったのは、数学の試験の学力を生かせる入試方式が人間科学部にあったことでした。

「共通テストと数学の試験を合算する数学選抜という方式があったんです。700点満点で、共通テストの配点が140点、数学の配点が560点なので直前に数学をやれば受かるなって思い受験しました。

共通テストは74%だったのでE判定だったんですが、早稲田で受けた数学の試験で8割くらい取れたので、無事合格することができました。興味のある分野の勉強を卒業まですることができそうなので、よかったです」

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