「高校浪人、大学3浪」就職後に再受験した彼の苦闘 30歳で早稲田大学に合格した彼の現在は?

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けいぜとさんは鹿児島県川内市(現・薩摩川内市)に、サラリーマンの父親と専業主婦の母親のもとに生まれました。

「親が転勤族だったので、5歳で鹿児島県の鹿屋市、8歳で九州のある県の中心部に引っ越ししました。そこから高校を出るまでずっとその地域にいました」

両親ともに高卒であったこともあり、特に教育熱心だった母親は、子どもにいい教育をさせたいという思いが強かったようです。けいぜとさんは、算数が得意で、中学校に入るまでそろばんを習わせてもらいました。公立中学校に入学してからも、数学の成績は群を抜いていました。

「国語や英語が平均点くらいだったので、学年200人中だと80番くらいの順位でした。ですが、数学に関しては、つねに3番以内で、1番を取ることもありました」

そのまま勉強を続けたけいぜとさんは、地元で偏差値がそこそこの高校に進学します。しかし、ここの環境は彼にとっては苦痛だったようで、高校1年生の最初のころには高校に通えなくなってしまったようです。

「偏差値的には県内で6番手くらいのコースだったのですが、高校の治安が悪くて、勉強をする感じの空気ではありませんでした。僕もその気になれなくて、中間テストで下から5番目くらいを取ってしまって……。数学だけはできましたが、それだけでした。将来について、特に考えることもありませんでした。そのうち、ネットゲームにはまったのがきっかけで、学校に行かなくなってしまいました」

結局、学校に戻る気持ちになれず、夏休みに学校をやめてしまったけいぜとさん。

県内トップの高校を目指す

それでも、「もう一度高校に入らなければならない」という思いはあったため、親の勧めですぐに英進館という予備校に入ります。そこで彼は、数学の才能を教室長に見込まれ、県内トップの私立高校を目指すことを勧められます。

「僕は、英語の授業ではMary(メアリー)を『マリー』って呼んでしまうような学力なので、全部の科目でバランスよく取らないといけない公立高校に入学するのは厳しそうでした。ですが、教室長の先生が、難しい数学で差をつけてあとの4科目で及第点を取ることができれば、トップの私立高校に入れると言ってくださったんです」

難しい数学の問題を出すために、平均点が低くなる難関私立高校の出題傾向を熟知したアドバイスは、彼の適性にぴったりはまりました。

熱血指導の先生のもとで13時から22時までひたすら勉強させられる生活を送った彼は、高校入試の数学で96/100点を叩き出し、ほかの科目の平均点が4割でも受かる状況を作り上げ、見事合格しました。

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