「高校浪人、大学3浪」就職後に再受験した彼の苦闘 30歳で早稲田大学に合格した彼の現在は?

✎ 1〜 ✎ 37 ✎ 38 ✎ 39 ✎ 最新
拡大
縮小

こうして1浪で高校に入ったけいぜとさん。しかし、入って早々に問題が発生します。

「授業の進度が速すぎて、ついていけなかったのです。前の高校と偏差値が15ほど離れているので、国語や英語が全然できなくて大変でした」

日々周りに置いていかれないように、勉強を頑張っていましたが、それでもなかなか差を縮められず、なんとか得意の数学で粘って160人中90番程度の順位を確保していたそうです。

「この学校は通う子の環境や所得水準が全然違うんです。父親が東京で働いているため、母親が単身で九州に来て、子どもとマンションに住んでいる家庭もありました。

学力面もすごくて、僕の学年は100人しか定員のいない東京大学理科III類に入る人もいました。20分で、センターの数学で満点を取る子もいたくらいです。両親がどちらも高卒の家庭はうち以外になかったと思います。僕の中では、この成績でも耐えていたほうでした

周囲が当然のように東大を第一志望に設定している環境で、なんとか頑張っていたけいぜとさん。自身も現役の受験では東大を目指しましたが、センター試験は66%程度に終わり、理科II類に出願したものの歯が立ちませんでした。

「駿台模試で一度だけ東大のD判定を取れたのですが、あとはすべてE判定でしたね。周囲が受けるから自分も東大を目指しましたが、どうやったら受かるのかがわかりませんでした」

1浪で京大に合格したものの…

周囲の友達も何人か浪人を選択したからという理由で、県内の予備校で浪人を決断したけいぜとさん。

勉強を続けた結果、1浪目のセンター試験の結果は74%と前年よりもいい数字が出ました。この年は受験校を変更し、京都大学を受験したけいぜとさんは、無事合格することができました。

晴れて1浪で京大生になれる……と思いきや、彼はこの合格を辞退し、もう1年浪人することを決意します。

「人間健康科学科の作業療法学専攻を受けたのですが、予備校の京大の合格者を稼ぐために(記念で)受けたようなものですし、この年はたまたま受ける人が少なかったから、受かっただけなんです。自分の中では京大の中でも薬学部のほうに行きたいと思っていたので、『京大に行ける!』という嬉しい思いもあり悩んだのですが、結局翌年もう少し成績を上げて、京大の薬学部に入ろうと決意しました」

しかし、2浪目以降は悪循環に悩まされることになります。

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT