放課後に自由な時間が「ない」子どもの悲痛な叫び 時代に合わせた「放課後」を楽しく過ごすには?

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「なかには大勢で過ごすことに面食らってしまう子どもや、大勢と遊ぶ楽しさを知らずにひとりで過ごしたがる子どももいますが、自主性を重んじて無理強いはしません」と話すのは、同団体アフタースクールマネジャーの松盛雅香氏だ。

しかし、遊びに参加しなければ練習にならない。参加を渋る子どもには、「最初だけ見てみない?」「一緒に審判しない?」などと誘い、少しでも同じ空間にいるように促す。「みんなが楽しそうに遊んでいる様子を見たり、仲の良い友達に誘われたりすると、そのうち参加する子がほとんど。みんなで遊びたい気持ちはあるけど、何かきっかけが欲しい子が多い」(松盛氏)

大勢で遊んでいるとトラブルも起こるが、松盛氏は「アフタースクールでは、トラブルが起きたときこそ子どもの成長機会と捉えている」と話す。

「トラブルに大人が割って入ってルールを作ってしまえば簡単だが、どうすればみんなが気持ちよく過ごせるか、あえて子どもたちに対話させることで、経験につなげている。ただ、それぞれの心情や発達段階をくみ取り、対話を促す適切な声かけをするのは簡単なことではない」(松盛氏)

適切な声かけだけでなく、大人が介入すべきトラブルと子どもに任せて見守るべきトラブルの見極めにもスキルが必要だ。同団体では、全国の子どもの放課後の居場所における職員の教育や、安定した雇用環境の改善も課題だと考え、自治体や学童職員向けの勉強会も積極的に行っている。

過ごし方を自己決定し経験の輪を広げる

アフタースクールでは、自分が何をして過ごすのか自由に決めることができる。思い立ったら自由に工作ができる場所や、ICTを使ってプログラミングを楽しむ場所、漫画を読みながらゆっくりと過ごせる場所も整えている。

「日々、たくさんの選択肢のなかから自由に過ごし方を選んでいると、自然と『これが好き』『もっとやってみたい』と、経験の輪が広がる。子どもたちが『おもしろそう』と思ったらすぐに取り組めるよう、環境を整えてアシストしています」(渡部氏)

松盛氏は、「遊びの提案が上手な子や、誰とでも楽しく遊べる子、人を巻き込むのがうまい子など、学校のテストの点数にはつながらないが、放課後の時間に輝く子どもは多い。アフタースクールが、たくさんの子どもたちが輝ける居場所になれば」と話した。

失われた小学生の「三間(遊ぶ時間、外で遊ぶ空間、一緒に遊ぶ仲間)」――しかし、「『昔の放課後は楽しかった』と嘆いていても、何も変わらない」と、平岩氏は話す。

「今は学校を活用した放課後の居場所作りに注力しているが、今後は公園で子どもたちが安全にのびのびと遊べるようにするにはどうしたらいいのかなど、学童だけでなく他の施設も含めてトータルで放課後をデザインできたらと考えている」(平岩氏)

子どもたちを取り巻く環境は時代に合わせて変化し続けている。私たち大人がすべきことは、よりよい社会を作り、次の世代の子どもたちに託すことだ。

最後に平岩氏は、「いつか社会全体で子どもたちを育てられるようになって、『日本の子どもたちが世界で一番幸せだ』と言われるようになるのが夢です」と話した。

笠井 ゆかり フリーライター

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かさい ゆかり / Yukari Kasai

1986年生まれ。大阪府出身。神戸大学法学部法律学科卒業。2009年、NHKに入局し、地方局で司法・警察取材を担当。生命保険会社への転職後は、代理店営業やコンプライアンス部門のリスク管理業務に従事。結婚を機にWEB関連会社のライターとなり、2020年からフリーライターとして独立。1児の母。Twitter:@nyagaWEB1

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