三菱「MRJ」開発の難関、型式証明って何だ? 半世紀ぶり国産旅客機の審査担当者に聞く

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MRJの型式審査は、日本の航空当局にとっても大きなチャレンジ。設計・製造国としての審査能力が問われる

――検査に当たっている航空機技術審査センターの体制は?

私を含め、在籍する検査官は73人。全員がMRJの型式証明に関わり、主翼や胴体などの構造、操縦・油圧系統などの機械システム、動力(エンジン)システムなど、5つの担当グループに分かれて検査に当たっている。

この審査センターが設立された2004年当時はわずか6人だったが、MRJのプロジェクト始動を受けて、検査官を大幅に増員し、現在の体制に至った。国交省のプロパー、航空機の専門知識を有する人材の中途採用に加え、防衛省やJAXA(宇宙航空研究開発機構)からの出向応援も受けている。

――国産旅客機の開発自体が長きにわたって途絶えていたため、日本では審査する側も欧米の航空当局のようなノウハウがありません。

ご指摘の点は否めない。数多くの航空機、旅客機開発に立ち会ってきたFAAやEASA(欧州航空安全庁)とは違い、日本の航空当局にとっては、これだけの大規模な型式証明審査自体が初めて。検査官の頭数を増やすだけでなく、FAAの協力で専門家を講師として招いた研修などによって、審査体制の強化・レベルアップを図ってきた。

また、FAA、EASAの安全性審査担当者と密接な連携をとり、定期的な共同会議も開いている。こうした会議を通じて、「われわれはこの基準項目についてこう考えるが、FAAの考え方はどうか」といった議論を交わしたり、彼らから貴重なアドバイスももらっている。

輸出先でも別途証明を得る必要

――三菱航空機はMRJを輸出するため、米国、欧州をはじめとする海外でも早期の認証取得を目指しています。

航空機の型式証明は設計・製造国の航空当局が第一義的な審査を行うが、輸出先の国でも別途、型式証明を得る必要がある。その場合、輸入国の航空当局が設計・製造国の審査をもとに必要性に応じて検査を実施して、認証の判断を下すことになっている。

実際、日本で飛んでいる海外メーカーの旅客機に関しても、自国だけでなく、日本の航空当局から型式認証を得た機体だ。

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