2000万円では足りない?「老後必要な資金」の実額 自分の退職後に必要な資金を計算する方法

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ちょっと長くなりましたが、結論です。退職後の生活費の総額は、次の等式で考えることができます。

退職後の生活費総額=現役最後の年収×60%×生存年数

最初に想定した自分の現役時代のゴールが、例えば年収800万円だとすると、退職した後にその60%の年間480万円の生活費が必要になり、65歳で退職した後、100歳までの35年間を想定すると、総額は1億6800万円に上ります! 

とんでもない数字ですが、これを勤労収入、年金収入、資産収入でカバーすると考えてみます。年収800万円を稼いでいた人なら、65歳以降もまだ働くことができるでしょう。75歳までの10年間を年収300万円で働けば、その間の収入は3000万円となります。

また公的年金は年間250万円と想定して、65歳から受給すれば35年間で合計8750万円になります。この2つの合計で1億1750万円となりますから、残りの5050万円は資産収入でカバーする必要が出てきます。これでもかなり大きな金額です。

対策はあるのか

しかし、対策はいろいろあります。例えば、公的年金受給を5年繰り下げると年間の受給額は42%増加しますから、70歳から100歳までの受給総額は1億650万円(=250万円×1.42×30年)となります。10年間の勤労収入3000万円と合わせると1億3650万円となり、必要な資産収入は3150万円に変わります。

さらに消費支出をもう少し落として、生活費を現役時代の年収の60%から55%に引き下げることができれば、35年間の生活費総額は1400万円減ります(=800万円×55%×35年-1億6800万円)から、資産収入は1750万円あればいいという計算になります。

最初に計算した生活費総額は大きいように思えましたが、いくつかの対策で何とかできる可能性も見えてきたのではないかと思います。

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野尻 哲史 フィンウェル研究所代表

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のじり・さとし / Satoshi Nojiri

合同会社フィンウェル研究所代表。1959年生まれ。一橋大学商学部卒。山一証券経済研究所(のちに同ニューヨーク事務所駐在)、メリルリンチ証券東京支店調査部(のちにメリルリンチ日本証券調査部副部長)、フィデリティ投信(のちにフィデリティ退職・投資教育研究所所長)を経て、2019年5月、定年を機に合同会社フィンウェル研究所を設立。資産形成を終えた世代向けに資産の取り崩し、地方都市移住、勤労の継続などに特化した啓発活動をスタート。18年9月より金融審議会の各種ワーキング・グループ、タスクフォース委員に就任。行動経済学会、ウェルビーイング学会会員。

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