2000万円では足りない?「老後必要な資金」の実額 自分の退職後に必要な資金を計算する方法

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まず考えるのは、自分が60歳前後の生活水準です。会社員でこの先も同じ会社に勤め続ける方であれば、先輩の状況を確認するのが最も早いと思います。特に、どれくらいの年収が想定できるかが重要になります。また、転職などを考えているのであれば、将来どれくらいの年収を得たいのかを想像するのもいいでしょう。

一方で、退職後の生活費はどれくらいかかるのかはデータを使って考えてみます。

まずはお金との向き合い方を考える際の等式です。現役時代は、勤労収入で生活費を賄い、余裕があれば将来の生活費をカバーするための資産形成に使うということで、

勤労収入 = 生活費(消費支出+非消費支出)+ 資産形成額(将来の生活費)

となります。なお非消費支出とは、税金や社会保険料などのことで商品やサービスに対する支出ではありませんが、これらも生活費の一部となります。

これに対して、退職後は勤労収入だけでは生活費をカバーできなくなりますから、年金収入や資産の取り崩しである資産収入を使って賄うようになります。そこで等式は

退職後の生活費(消費支出+非消費支出)=勤労収入+年金収入+資産収入

となります。

この2つの等式を見比べていただくと、現役時代は勤労収入から考え、退職後には生活費が先にあってそれをどの収入で賄うかを考えるというプロセスに変わることがわかります。退職後の3つの収入が、一般に言われるリタイアメント・インカム(Retirement Income)と呼ばれるものです。

退職しても生活水準は下げないことがスタートライン

退職後の生活費を現役時代の最後の年収と比べるという発想は、アメリカでは一般的に行われています。年収と生活費の比較は、ちょっと考えると違和感があるかもしれませんが、先ほどの2つの等式を想定してみるとわかりやすいもので、アメリカではこれを7割くらいと想定しています。

日本でもこの等式を使って、どれくらいになるのかを考えてみることにします。その場合、検討する条件として、
① 現役時代は勤労収入の一定比率を資産形成に回している
② 退職しても現役時代と同じ生活水準を維持する(=消費支出は変えない)
③ 現役時代の非消費支出(所得税や社会保険料など)は生活費の一定割合を占める
ーーの3つを決めておきます。

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