元国税調査官が語る、中小企業「夢の節税術」の正体 税金のプロが語る「経営セーフティ共済」の威力

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しかし中小企業退職金共済を使えば、企業が毎年損金として、退職金を積み立てることができるのだ。

例えば、中小企業退職金共済を使って、従業員1人当たり月3万円を積み立てていたとする。これは会社の経費に計上することができるので、毎年従業員1人当たり36万円の経費計上ができる。20年後には利子も含めるとだいたい800万円に、30年後には1200万円くらいになっているのだ。

それだけの備えがあれば、従業員が退職したときに慌てなくてすむだろう。

1年間の前納が可能

さらにこの中小企業退職金共済が、節税上有利なことは、1年間の前納が可能だということだ。

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だから期末に1年間前納すれば、期末になってからの節税策ともなる(ただし、一度前納すれば、その後もずっと前納しなければならない)。また国からの若干の助成があり、単なる退職積立金と考えても、有利な制度だ。節税商品としても抜群の内容といえる。

中小企業退職金共済は、資本金5000万円以下(製造、建設業等は3億円以下、卸売業は1億円以下)の企業であれば、どこでも加入できる。

中小企業退職金共済の掛け金は、従業員1人当たり月5000円から3万円までであり、その間の増額は自由にできる(減額は、理由が必要)。また特例としてパートタイマーなどには、1人当たり月2000円から4000円の掛け金もある。

ただ原則として、全従業員に掛けなければならない。経営者や役員、家族従業員は、加入することができないので、経営者の資産形成のためには使えない。

中小企業退職金共済は、解約するのには条件があり、全従業員が解約を認めたとき、もしくは厚生労働大臣から掛け金を払い続ける状態ではないと認められたときとなっている。中小企業退職金共済は、主な金融機関の窓口で取り扱っており、加入の方法も簡単である。

従業員に退職金を払う慣習のある中小企業、払おうと思っている中小企業は、ぜひこの制度を活用したい。

大村 大次郎 元国税調査官

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おおむら おおじろう / Ojiro Omura

国税局に10年間、主に法人税担当調査官として勤務。退職後、ビジネス関連を中心としたフリーライターとなる。単行本執筆、雑誌寄稿、ラジオ出演、『マルサ!!』(フジテレビ)や『ナサケの女』(テレビ朝日)の監修等で活躍している。ベストセラーとなった『あらゆる領収書は経費で落とせる』をはじめ、税金・会計関連の著書多数。一方、学生のころよりお金や経済の歴史を研究し、別のペンネームでこれまでに30冊を超える著作を発表している。『お金の流れでわかる世界の歴史』は「大村大次郎」の名前で刊行する初めての歴史関連書である。近著に『税務署対策 最強の教科書』『「土地と財産」で読み解く日本史』。

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