元国税調査官が語る、中小企業「夢の節税術」の正体 税金のプロが語る「経営セーフティ共済」の威力

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小規模企業共済の難点は、預金と違って自由に引き出すことができない、という点である。原則として、その事業をやめたときか、退職したときにしか受け取ることができない。

事業が思わしくなくなったときや、いざというときには、事業を廃止したことにすれば、もらえる。事業を廃止しなくても解約できるがその場合は、給付額は若干少なくなる。また、事業を法人化したときにも受け取れるので、個人事業者が法人化への資金として貯蓄する場合にも使える。掛け金の7~9割程度を限度にした貸付制度もあるので、運転資金が足りないときには活用できる。

共済金を受け取った場合は、税制上、退職金か公的年金と同じ扱いとなり、ここでも優遇されている。

この「小規模企業共済」も、「経営セーフティ共済」と同じように、独立行政法人「中小企業基盤整備機構」が運営していて、全国で約162万人が加入している。問い合わせ先も「経営セーフティ共済」と同じである。

「中小企業退職金共済」も節税策として有効

中小企業には、「中小企業退職金共済」という制度がある。この共済も節税策としても非常に有効なものである。中小企業退職金共済とは、中小企業がこの共済に毎月いくらかずつを積み立てて、それを従業員の退職したときに退職金として支払うという制度だ。

この中小企業退職金共済のどこが節税になるかというと、積み立てた金額が、全額損金にできることである。

現在、日本の税法では、退職金のための引当金は認められていない。退職したときに、従業員に退職金を払うように就業規則で決められている企業、退職金の支払い慣習がある企業の場合は、従業員に対して退職金の支払い義務がある。

しかし税制上はこの退職金の原資を蓄えておくことができないのだ。

企業が退職金のためにお金を積み立てても、それは税務上損金にできない。つまり、企業は従業員の退職金を払う債務を負いながら、それを損金として積み立てておくことができないということだ。これは企業にとっては、痛いことであり、日本の税制上の欠陥だともいえる。

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