今回の取材を通して改めてこの動画に関して検証すると、以下の点が「地下アイドルらしさ」を強調していることに気がつく。
・設定年齢36歳という若くない年齢に地下アイドル的なパフォーマンス
・TO(トップオタク)とおぼしきファンの推しへの愛情と哀愁を醸し出す背中
・ちょうどいい感じのライブハウスのステージの大きさ
・ライティングによる光と影のコントラスト
なお、この分析は、ファンを含めた当人たちには取材時に伝え、了承を得て書かせていただいている。
ちなみに「TO」とは「トップオタク」の略で、そのアイドルの一番のファンであることを意味する用語だ。
はっきり言って、こんな動画は撮ろうと思って撮れるものではないだろう。
何より、うしおの「絶妙なまでの地下アイドル感」。これこそがXでこの投稿を見た人たちの心をくすぐったのだ。
「思っていたのと違った」反応
そして見た人の多くは、うしおを「応援する気持ち」となっていた。その証拠にコメントでは客がひとりということをバカにするものではなく、励ますものが目立っていた。
「このファンひとりってことがバカにされてるのかなと思ったら、みんな『最高じゃん』『歌がいい』『お誕生日おめでとう』ってすごく好意的で。だからこそ余計に焦りました。自分のファンや周りはわかってる内輪ネタのつもりだったのに、どんどん伸びて、最初はすぐに消そうかと思いました」
そう。突如としてバズったポストがさらに予想外だったのは、みんなに好意的に受け入れられたことだった。
バカにされるならまだいい。うしおは名古屋でこのコロナ禍、対バンライブでも本当にファン1人の現場を体験してライブ活動を続けてきた。そんなことをいまさら言われても、なんともない。
けれども、どうだろう。応援のメッセージがうしおの心には逆に刺さった。
「騙しているわけではないけど、なんだか悪いことをしているようなそんな気持ちになって、どうしようかと思って家族には相談しました。人づてにファンも心配していると聞いていたので……」
後日、すぐにうしおはこの動画に関し、「特典としての生誕ライブ」であることを公表し、世間を驚かせたことを謝罪している。
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