イオンとセブン&アイHDを分析する 「脱デフレ戦略」で明暗、差が広がる小売2強

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とはいえ、貸借対照表(13~15ページ)を見ると、イオンは有利子負債(借入金や社債、リース債務などの利子が生じる負債)を1兆8300億円も抱えており、かなり大きな金額なのです。業績と合わせて、支払利息や金利の動向などの点にも注意が必要です。

セブンは利益率の高いコンビニが好調

続いて、セブン&アイHDの平成27年2月期決算を見ていきましょう。損益計算書(同14ページ)を見ると、営業収益は7.2%増の6兆0389億円。さらに、主にFC店からのロイヤリティ収入(営業収入)などが9.4%増の1兆0423億円が加わり、営業総利益は9.0%増の2兆1127億円となりました。

それから販管費が少し増え、営業利益は1.1%増の3433億円となりました。冒頭でも触れましたが、5期連続の増収増益です。イオンの営業収益7兆0785億円、営業利益1413億円と比べると、セブンの収益率の方がはるかに高いことがわかりますね。

次にセグメント情報(34ページ)から事業別の業績を見てみますと、当然のことながら主力はコンビニエンスストア事業です。全体の営業収益のうち45.2%、営業利益のうち80.6%を占めています。また、売上高営業利益率(セグメント利益÷セグメント別の営業収益)が10.1%ありますから、非常に収益力の高い事業だと言えます。

一方、コンビニ事業に次いで規模が大きいのはスーパー事業ですが、これは2兆0037億円の営業収益に対して193億円の利益しか出ていません。利益率は1.0%を切っています。はっきり言って、かなり厳しい状態です。イオンに限らず、スーパーマーケットという業態自体が、非常に苦戦し続けているのです。

その結果、資産効率という点でも大きな差がついています。イオンの資産合計は7兆8598億円、それによって稼ぎ出している営業利益は1413億円しかありません。一方、セブンの資産合計は5兆2347億円ですが、営業利益は3433億円も稼いでいます。

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