イオンとセブン&アイHDを分析する 「脱デフレ戦略」で明暗、差が広がる小売2強

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業績をもう少し詳しく見てみましょう。事業ごとの収益をまとめたセグメント情報(26ページ)によると、やはり主力は総合スーパー(GMS)で、営業収益の46.2%を占めています。ところがセグメント利益は、前の期は350億円の黒字だったのが、この期は16億円の損失を計上しており、全体の足を引っ張っているのです。

スーパーやディスカウントストア、小型店などの事業も苦戦しています。営業収益は9.8%増えていますが、セグメント利益は52.3%減の84億円です。

一方、イオン銀行などが含まれる総合金融のセグメント利益は、30.0%増の530億円となっていますね。この期は、総合スーパー、小型スーパーなどの事業の低迷を、金融やディベロッパーなどの高収益事業でカバーしきれなかったと言えます。

業績改善のための積極的投資

この期、もうひとつ特徴的なのは、業績の低迷をカバーしようと設備投資に積極的だったということです。キャッシュフロー計算書(21~22ページ)を見ますと、設備投資にあたる「固定資産の取得による支出」がマイナス4354億円となっており、前の期より600億円増えています。この額は減価償却費1883億円をはるかに超えていますから、同社は業績改善のために積極的に投資をしていると言えるのです。

スーパーは数年経つと徐々に客足が減る傾向がありますから、定期的にスクラップアンドビルドをして収益を確保することが必要です。店舗数を増やすだけでなく、こういった部分にも投資をしているのでしょう。

ただし、イオンは今後3カ年の中期経営計画で、設備投資の規模を見直そうとしています。業績が特に低迷している国内での新規出店を抑え、既存店の改装に注力することで収益力を回復させようとしているのです。これが中長期的に業績に寄与していくかどうかに注目です。

最後に安全性を見てみますと、自己資本比率(純資産÷資産で計算、短信とは数字が異なります)は23.3%です。この数字は高いとまでは言えませんが、まずまず安全圏に入っています。

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