【ルポ】そごう・西武「ストライキ」最後の抵抗 紆余曲折の末「譲渡価額8500万円」で売却完了へ
デモ隊は東池袋中央公園を出発し、六ツ又交差点を左折して明治通りを進んで行った。デモ行進ルートの都合上、池袋西武の目の前を通過することはなかった。だが東口五差路交差点で後方に池袋西武が見えると、臨時休業となっている池袋西武を振り返って見つめる組合員もいた。
デモ行進と並行し、池袋西武前ではビラ配りや横断幕の掲出などが行われていた。組合員らは「臨時休業でご迷惑をおかけしており、誠に申し訳ございません」などと呼びかけつつ、そごう・西武の現状を街行く人々に訴えた。
足を止める通行人も多く、ストライキの様子を見ていた60代女性は「池袋西武を応援する気持ちで来た。臨時休業は決して迷惑ではない。ぜひ百貨店として存続してほしい」とエールを送った。
一方、東京・千代田区二番町。31日午前9時からセブン&アイHD本社で臨時取締役会が開かれた。そごう・西武の売却が最終局面を迎える中、翌9月1日にアメリカの投資ファンドであるフォートレスに売却することが決議された。
そごう・西武の雇用は「まだ不透明」
9月1日、セブン&アイHDはそごう・西武の売却を完了したと発表した。セブン&アイHDは当初、そごう・西武の企業価値を2500億円としていたが、8月31日のリリースでは「そごう・西武の『事業の継続』及び『雇用の継続』に最大限配慮したリニューアルプランについてフォートレスに要請した結果、そごう・西武の企業価値について300億円の減額を行い」(セブン&アイHD)と触れ、最終的な企業価値は2200億円となった。
また、セブン&アイHDがそごう・西武に貸し付けていた約1659億円の貸付金のうち、約916億円は放棄することも明らかにした。その他、グループ会社の有利子負債や運転資金の調整などのうえ、そごう・西武の実質的な譲渡価額を8500万円と見込んでいる。
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