秀吉としては、これで家康も上洛してくるだろうと思ったはずですが、家康はなんと、それでも上洛の意思を見せませんでした。どうやら、この朝日姫が本当に秀吉の妹か疑っていた節があります。
こうなると秀吉も意地です。
秀吉、実母まで家康に送りつける
なんと今度は見舞いと称して、自分の母親である大政所を岡崎に送ることを決めます。
真偽のほどは定かではありませんが、大政所が岡崎に着き、朝日姫と手を取り合って泣いているところを見て、ようやく家康は秀吉の覚悟が腹落ちしたという話もあったようです。
こうして家康は上洛の意思を固めます。
ただ、家臣たちは家康に何かあればと朝日姫と大政所のいる屋敷のまわりに薪を積み上げ、いつでも焼き殺せるようにしていたとの話も。これらの逸話の信憑性は低いですが、おそらくそれに近いことはあったのではないでしょうか。
徳川方としては、それほど家康の上洛に危機意識を持っていたのです。
もっとも天下人となった秀吉からすれば、家康を騙し討ちするくらいなら時間がかかっても大義名分のもとに徳川征伐を行ったほうがいい。
家康を妹婿とすることで、国内最大勢力であり織田時代からの同盟国である徳川を政権に取り込んだほうが、はるかにメリットは大きかったと思われます。
秀吉による苦肉の策だったとはいえ、家康にしてもみても、この婚姻は家康が天下人たる秀吉の身内になることであり、対外的にも徳川のメンツを守るいい口実でした。もちろん利用された朝日姫の心中を除けばですが。
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