「ステップワゴン」新型のたび販売が落ちる悲哀 N-BOX、フリードのヒットで問われるその役割
これは、いわゆるコロナ禍の混乱による生産遅滞が原因だろう。発売1カ月後までに得た約2万7000台もの受注分を納車しきる前に登録台数が減る、というのは、供給に問題があったとしか考えられない。
ただし、11月には前年比182.7%(5327台)まで復活し、12月も124.6%(4037台)を登録している。供給の停滞は、解消に向かったのだ。
その結果、2022年6~12月の7カ月間での販売台数は、2万8931台となっている。年間でいえば5万台ペースとなり悪くないように思えるが、月平均にすると約4000台。生産遅滞があったことで、月販5000台という目標に少し届かない結果となった。
そして、2023年に入るとさらに数字は伸び悩む。新車登録台数は1月3079台、2月2926台、3月3052台、4月2346台、5月1732台、6月2835台、7月4563台で、一度も5000台に届いていない。7月こそ4000台を上回ったが、概ね月3000台前後のペースにまで落ち込んでしまったのだ。
初期受注でニーズの多くを獲得してしまい、その後の新規受注に苦労しているように見える。この調子では、年間の販売台数は3~4万台になりそうな気配だ。ライバルと比較するとステップワゴンの苦境は明らかで、2023年上半期(1~6月)新車販売ランキングでは1万5970台の登録で24位にとどまっている。
ライバルであるトヨタ「ノア」は5万台を超え5位、兄弟車の「ヴォクシー」が7位、日産「セレナ」が12位だ。12位のセレナでも、上半期の台数は3万4000台を超えている。年間3~4万台のペースでは、ライバルにまったく及ばない。
常に「先代よりも売れていない」という事実
では、発売直後の年間3~4万台というペースは、過去のステップワゴンと比べるとどうなのか。それは、端的に言って“ひどい数字”である。
先代モデルがデビューした翌年となる2016年の年間販売台数は、5万2472台であった。最新モデルの年間3~4万台レベルというのは、先代の3分の2程度しかないのだ。
とはいえ、歴代モデルの発売直後の販売台数を見ると、また別の面も見えてくる。それは2代目を除いて、歴代モデルは、つねに「先代よりも売れていない」ことだ。
2009年デビューの先々代は、2010年に8万934台。さらに前の2005年は、9万1745台。その前は、2001年に11万14台。初代の登場時、1996年は10万9894台である。
つまり、初代から2代目へのモデルチェンジ時こそ台数を増やし、まだ年間10万台を超えていたものの、3代目は9万台、4代目が8万台、先代の5代目が5万台と、代を重ねるごとに販売を落としているのだ。そして、6代目となる現行モデルが、3~4万台の見込みである。
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