「ステップワゴン」新型のたび販売が落ちる悲哀 N-BOX、フリードのヒットで問われるその役割
これは新型モデルのデキの如何ではなく、ステップワゴンというクルマへのニーズが落ちていることを意味する。ホンダのラインナップを見れば、それがわかるだろう。
2008年にはステップワゴンよりも小さな7人乗りミニバンの「フリード」が登場し、2011年には軽自動車の「N-BOX」が生まれている。この2つのモデルは、どちらも箱型ボディにスライドドアを備えたもの。N-BOXは2列シートではあるが、ステップワゴンと同様に子育てファミリーを向いた製品だ。
つまり、ホンダ内に同じファミリー向けのライバルが登場してしまったのである。
2008年に誕生したフリードは、ハイブリッドを追加した翌2012年に年間10万台を突破。2016年のフルモデルチェンジ直後の2017年も、10万台を超えている。デビューから5年目となる2022年でも、7万9525台を販売する人気ぶりだ。実にステップワゴンの2倍近くも売れている。
軽自動車のN-BOXは、2011年のデビューから現在まで12年の間に、軽自動車として年間販売ナンバー1を10回、登録車と合わせても6回の販売台数ナンバー1を記録する、モンスター級のヒットモデルだ。
ステップワゴンというクルマの役割
一方でホンダ車全体の国内販売は、2000年代から現在まで50~70万台で推移している。大ヒットモデルが登場しているのに、総数自体はそれほど大きくなっていないのだ。そこから見えてくるのは、同じホンダブランド内にいる人気モデルが、「ファミリーユーザーの一定数をステップワゴンから奪っている」ということだ。
また、ホンダにはより上級の「オデッセイ」もあり、2013年に登場した5代目ではスライドドアを採用している。台数は多くないものの、こちらに流れた人もいるだろう。ちなみに、この5代目オデッセイは2022年に一旦、販売を終了しているが、再び発売されることが発表されている。
つまり、かつてはステップワゴンという1モデルだけで対応していたスライドドアワゴンへのニーズを、N-BOX、フリード、ステップワゴン、オデッセイという4モデルでカバーするようになったわけだ。クルマのデキではない部分で、ステップワゴンの数が減っていると考えられる。
時代にあわせて新しいモデルが生まれ、そして古いモデルが退場してゆくのは当然のこと。残念ながら、ステップワゴンの役割も、徐々に小さくなっているということだろう。
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