具体的には、無形資産が有形資産と異なる4つの大きな点を指摘した。
② 無形資産はスピルオーバーを持つ(研究開発などへの企業投資は、その投資の恩恵を受けるのが自分だけとは確信できない)。
③ 無形投資はサンクコストである(つまりその企業が破綻したら債権者にはあまり価値がない)。
④ 無形資産はシナジーを持つ(ほかの無形資産と組み合わせるとすさまじく価値が高まることが多い)。
これらの特徴は、無形リッチな企業や無形資産集約経済のふるまいにさまざまな影響を与える。
無形リッチな経済の性質と影響
スケーラブルな無形資産を持つ企業は急成長できるし、巨大になれる。これは今日のハイテク巨人を見ればわかる。スピルオーバー効果は、企業がそれに投資しても、その恩恵を活用するのは競合他社になりかねないということだ。
これはいまや破綻したスマートフォンメーカーのブラックベリーやノキアが、痛い目を見て学んだ教訓だ。またこれは、政府が投資を補助するべきだという議論を強化する。そして実際、ほとんどの政府は科学研究、研修、教育という形でそれを行う。
無形資産はしばしばサンクコストだという事実は企業ファイナンスにとって課題となる。とくに中小企業にとって、負債による資金調達はしばしばその会社の資産を担保に行われることが多い。
会社が破綻したときの資産価値が低ければ、銀行にとっては見込み融資客としての魅力が低い──現在の世界ではほとんどの企業にとって負債資金と銀行融資が主要な外部資金源となるので、これは問題となる。
無形資産同士のシナジーの価値は、J・K・ローリングがP・G・ウッドハウスやJ・R・R・トールキンより金持ちになったという事実からもわかる。それは彼女がハリー・ポッターの小説群としてつくり出した価値の高い無形資産が、非常に有効な形で特殊効果や関連商品といったほかの無形資産と見事に組み合わせられるからだ。
シナジーはまた、それが適切な無形資産を組み合わせた場合にのみ意味を持つから、アイデアやブランドや技能の仲介職が極度に成長し、この種の活動が最も起こりやすいダイナミックな都市が繁栄することにもなる。
(翻訳:山形浩生)
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