謙虚で胸襟を開く人こそリーダーにふさわしい訳 与えなければ他者からの信頼は与えられない

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信頼は単独では成り立たない。そこには常に「信頼しやすさ」の問題がある。つまり、一方が信頼に値すると証明すれば、もう一方はその人を信頼しやすくなる。信頼は、好循環を生む「自分発の信頼性」で成り立っているのだ。

他者から信頼してもらうためには、まず自分から相手を信頼すべきだ。このシンプルで効果的な方法によって、信頼の好循環に入っていきやすくなる。他者から信頼してもらう方法を紹介しよう。

隠すより「オープン」に

まずは「透明性」から始めよう。状況把握のための情報が不足しているとき、人は自分が知り得た部分的な情報だけをつなぎ合わせて架空の物語を創り上げる傾向がある。その物語は自分自身を主人公や被害者にした、現実とはかけ離れたものであることが多い。このような事態に陥らないよう、十分に情報を伝え、相手が状況を正しく認識できるようにすることは、他者から信頼される人になる大切な方法だ。

私たちは、「その人のためになるから」という理由で相手に情報を与えないことも多いが、情報は隠すよりもオープンにしたほうがいいことが多い。自分が情報を明かすことで、相手も貴重な情報をオープンにしやすくなる。結果としてWin-Winの方向に進むことがある。

信頼を得る次なる武器が「脆弱性」だ。人は自分の脆弱性を弱点と見て、他人の脆弱性は強みとみる傾向がある。

私たちは他人の脆弱性は評価するが、自分の脆弱性は弱みと見なして隠そうとする。

しかし、他者からの信頼を得るうえで、脆弱であること――人間らしいこと、自分らしさを十分に発揮すること、オープンで正直であること――は、まわりに安心感を与え、信頼してもらう良い方法になる。

私たちは「リーダーは鎧を身につけた無敵の存在でなければならない」と考えがちだが、その不死身の鎧が、他者からの信頼を妨げている場合も多い。

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