日本を蝕む「20代の給料安すぎ問題」超残念な実態 「初任給引き上げ政策」がなければ経済成長なし
特に早急に取り組まなくてはいけないのが、若者の低賃金問題です。
政府として、直接的に賃金に影響を与えられる唯一の武器は最低賃金です。しかし、最低賃金で働いている労働者はそもそも、主に学生と女性と高齢者です。今では、若い人の賃金を引き上げる役割を果たしていません。
以前から言われているとおり、日本では大卒男性の初任給の伸び率が長年にわたって低迷していて、最低賃金との差が年々縮小してきました。
かつては大卒男性の初任給は最低賃金の約2倍だったのですが、2023年には1.46倍にまで低下してしまっています。企業がいかに初任給を上げてこなかったかがわかります。
情けないというか、だらしないというか……実に深刻な問題です。
年齢別年収格差は日本人の若者を苦しめる
アメリカのデータを見てみましょう。アメリカの20~24歳の平均年収は3万7024ドルです。一方、45~54歳の層の平均年収が最も高く、その額は6万4416ドルです。若者層との差は倍率で言うと1.73倍です。
ところが、日本のデータを見ると、最も高い55~59歳の平均年収は529万円ですが、20~24歳の年収は269万円でしかありません(2021年)。アメリカの1.73倍に比べて、1.97倍です。
つまり、若者層は50代後半の人たちの半分の給料しかもらえていないのです。
アメリカでは大学を卒業したばかりの若い層も比較的潤沢な報酬をもらうのですが、収入の上昇カーブは比較的緩やかなのに対し、日本では若者層の報酬は低く抑えられ、ある程度の年齢に至ってから、急激な上昇カーブを描く傾向が見られるのです。若い人はその悪影響を受けています。
このような報酬の上がり方の違いによって、若い人たちが苦境に立たされているのが日本で見られる残念な実態です。
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