日本を蝕む「20代の給料安すぎ問題」超残念な実態 「初任給引き上げ政策」がなければ経済成長なし

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男性に限定してみると、日本の45~54歳の層はアメリカの同年齢層の男性の91.8%の年収を受け取っています。過去の記事で何度も紹介しているように、日本人の生産性はアメリカ人より大幅に低いので、日本の45~54歳の層がアメリカの同年齢層の91.8%もの年収をもらっているのは、明らかに「もらいすぎ」です。

一方、日本の20~24歳の男性は、アメリカの同年齢層の男性の72.4%の年収しかもらっていません。25~34歳の男性も79.6%しかもらえていません。

今のデータを別の角度から見ると、アメリカの45~54歳の男性の年収は、20~24歳の男性の1.8倍ですが、日本では2.3倍もの差があることが見えてきます。

高齢化によって、消費総額は減少する

この類の話をすると、「アメリカと日本では文化が違うから、年代別によって年収に差が生じるのだ」などなど、感覚的に拒絶する人が現れると思いますが、ひとまず何が正しいのか客観的に考えてみましょう。

そもそもアメリカの年代による収入の差は、昔から変わっていないわけではなく、長い歴史の中で徐々に変化して今に至ってきたものなので、文化の違いだけで日本との違いの原因を説明することはできません。

実際、アメリカでは若者層と45~54歳の年収差は年々縮まってきています

このような変化が生まれた一因はDX(デジタルトランスフォーメーション)の進展にあると言われています。DXは言うまでもなく、ここ20~30年の間に生み出された新しい技術がベースとなっています。

若い世代のほうが、新しく生み出された最新技術に詳しく、活用するのに有利なのは自明です。なのでDXのように新しい技術の習得がビジネス上でも不可欠になればなるほど、年配者たちの経験や勘の価値が低下するとされています。

日本の場合、DXの進展以外にも、これまでの年収制度を見直すべき大きな理由が2つあります。それが高齢化消費総額です。

国の消費総額は以下の式で計算されます。

消費総額=(所得-税金+手当(補助金)-貯金)×人口

したがって、人口が減少するのであれば、消費総額を維持するには所得を増やす必要があります。所得を増やすには賃金が上がらなくてはいけません。そして、賃金を引き上げるためには、生産性の向上とそれを可能にする設備投資が不可欠です。

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