シャープ、注目の再建策は「踏み込み不足」

高橋社長が会見、危機脱却への道筋描けず

新中計で「踏み込み不足」と言える一つが、不採算事業の撤退・縮小である。あるメインバンク幹部はシャープへの支援継続に向け、「不採算事業の撤退は当然ある。前提だ」と語っていた。しかし、提示された新中計で不採算事業の縮小策のうち、具体的に挙げられたのは、テレビ事業のカナダ、オーストラリア、ニュージーランドでの事業終了のみ。北南米で外部への生産委託などを検討するとしたが、具体策は示されなかった。

一部報道では、テレビの栃木・矢板工場、電子部品の広島・三原工場、福山工場の閉鎖、また薄膜太陽電池の生産停止など、不採算事業からの撤退・縮小策が伝えられていたが、高橋社長はこれらを明確に否定。いずれも事業存続の意向を強調した。事業構造を大きく転換しないまま、どう成長軌道に乗せるのか、そのシナリオは十分には示されていない。

もう一つ、不透明感が残るのが、液晶事業の成長シナリオだ。液晶はシャープにとって、成長の牽引役のはずだが、収益変動が激しく、設備投資に多額の資金がかかる。財務面で制約のあるシャープには、社内の採算事業を売却し液晶事業に資金注入する、あるいは分社化したうえで外部のパートナーから出資を募るなど、資金調達の道筋が求められていた。しかし会見では、その見通しも最後まで示されなかった。

続投明言の高橋社長に責任問う声も

新たな経営体制も今回発表された

人事面では、代表取締役4人の代表権を返上、うち3人が取締役を退任するなど、経営責任を踏まえた経営体制の刷新を発表。ただ高橋社長自身は続投を明言し、「新中計をやり切るのが自分の責任」と強調した。

シャープ社内では、前中計の未達を招いた、高橋社長の責任を問う声も多い。どれだけ今後も社員の求心力を維持できるかは未知数だ。2年前の前中計の発表の際、高橋社長は「新生シャープ」という言葉を繰り返したが、変われなかったシャープを今度こそ変えることができるのか。

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