債務超過→12期連続黒字の「農園」が変えたこと 「子どもが継ぎたくなる」農園経営の8カ条

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日本の人口は減り続ける一方、世界の人口は増え続けている現実を踏まえると、食料生産を担う農業には大きな可能性があります。私たちは、地域の担い手不在農地の受け皿になるべく、人材育成や設備投資を進め、生産量日本一のさくらんぼ産地を守り続けます。

1986年に農業経営を法人化し、2012年に農地所有適格法人に認定され、2014年に総合化事業計画認定、2020年にJGAP、2022年にノウフクJAS認証。もしかしたら、私たちは日本国内の農業経営体の中では、少し先を走っているのかもしれません。

私が就農した20年前、農業経営は法人化されていたものの、実際は法人と個人の境界がないどんぶり勘定でまさしく家族経営そのものでした。そうした経営をあらため、法人と個人のお金を原理原則に基づいてしっかり分けるようにしました。

月次決算で現状を数字でつかみ、黒字決算を目指しました。売り上げを増やし利益を確保して一緒に働く仲間に分配しています。父所有の農地や土地建物を借りる場合には賃借料を支払っています。

以前は、法人にお金がなくなると個人である代表やその家族から代表者借入れを繰り返していました。それが積もり積もって2500万円の債務超過になっていました。現在は、父母からの借入れはすべてなくなり債務超過を解消し、資産超過になりました。

「お互いの妻を会社に入れない」兄弟経営

兄弟でやっている会社はうまくいかない。そんな話をよく聞きます。しかし、私たちは15年以上兄弟で会社を経営してきました。私たちは、「お互いの妻を会社に入れない」というルールを決めています。繁忙期などの手伝いはOKですが、役員や常時雇用はNGです。

兄弟で会社を経営して失敗したケースを聞くと、兄弟同士はうまくいっていても、妻同士がぶつかって、その争いに兄弟が巻き込まれていくというパターンが多いようです。兄弟同士は血を分けた仲ですが、妻同士は他人で争いだすと家庭だけでなく、会社の中までおかしくなってしまいます。

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