債務超過→12期連続黒字の「農園」が変えたこと 「子どもが継ぎたくなる」農園経営の8カ条
5. ブルーオーシャンを探し、自らブラックオーシャンを創り出す
自分でつくったものは自分で決めた価格で自ら販売します。レッドオーシャンから抜け出し、ブルーオーシャンを探し、自らブラックオーシャンを創り出す努力を重ねてきました。あえてライバルができないことにチャレンジすることもあります。
自社の武器を見つけ、磨き極めることが付加価値となり、差別化できると考えています。王将果樹園に来ないとできない体験や、「oh!show!café(オウショウカフェ)」のパフェは価格競争に入らない代表的な商品です。
現金残高をつねに気にする
6. 現金の動きを手帳に記録する
会社に現金がどのくらいあるのか、自分がイメージしている状況と照らし合わせています。決算書を確認しなくても、現金残高を確認し、直近の収支を思い返すことで、今月は売り上げが足りないとか、経費を使いすぎたなど気づくことがあります。修正できる点はすぐに対応します。私は手帳に収穫量などの農業生産データと現在の現金残高を書き残して、前年同期と比較するようにしています。
7. 50歳で社長をやめる
経営者の大事な仕事は、後継者を決めて育てることです。私は50歳で社長を退任します。理由は、「死ぬまで社長」が当たり前である農業界の悪しき慣習を変えたかったからです。私は34歳で父が60歳になったタイミングで代表権を引き継ぎました。後継者には後継者なりの農業経営に対する考え方があります。
次期社長は、現在専務として支えてくれている4歳下の実弟です。一般的な退任年齢である60代まで社長を続けることもできますが、そうすると彼は50代から60代になっています。できれば40代で社長に就任させたいと考えました。それは年代によってチャレンジできることが違うからです。
長期的な視点で持続的な農業経営を行うには、後継者を若返りさせる必要があります。社長の退任時期を明確にすることで、後継者は社長になるために準備を重ねますし、私は残りの時間を意識して自分のやりたいこと、やるべきことを実現しています。
8. 自分の子どもたちが継ぎたくなるような農業経営
私と弟、2人とも継いだ農業経営。祖父母や父母の積み重ねてきた農業に魅力があったから、こうして引き継いでいると思います。その魅力とはいったい何だったのか。答えはまだ見つかっていません。ただし、一つだけ言えることは「楽しく前向きに仕事をすること」です。「つらい」とか「儲からない」などのマイナスワードは使わず、農業の楽しさを自然に伝えるようにしています。
自分の子どもが継ぎたくないような経営は、他人は絶対に継がない、と思います。
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