フジテレビが仕掛けた「ネット専門局」の正体 「24時間ニュースぶっ通し」で何を狙うのか

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――ホウドウキョクでは、それをさらに進めている?

その少人数で番組を作るノウハウは、この「ホウドウキョク」にも引き継がれています。無人カメラも導入しました。BSやCS、地方局の番組ではすでに導入されていますけど、副調整室からリモートコントロールで動かすことができるんです。

―ひとりを減らすことでコストは減らせると。一方、今後どうやって収益を上げるかという部分はいかがでしょう。

現状、NOTTVに出している部分など、コンテンツプロバイドの収益はあるのですが、全体のプライマリーは現状では赤字ですね。ネットで有料というふうに考えがちですが、ネットで始めから有料という考え方は、なじまないじゃないですか。とにかくまずはユーザーを増やし、ファンを増やすということと平行してマネタイズを考えていかなくてはという感じです。

――テレビ局と言っても、そこはほかのネットベンチャーと一緒ですね。トラフィックを増やしつつ、広告なりフリーミアムなり、マネタイズの手法を模索していくと。

あくまで、番組の人気の部分とマネタイズは並行して考えていかなくてはならないでしょうね。あと、見てくれる人たちといかにコミュニケーションをとるかという部分は重要視しています。

今、いちばん取り組みたいテーマは

――報道と視聴者のコミュニケーションというのとは、ちょっと遠いイメージがありますよね。

でもそこがいちばん取り組みたいテーマでもあるんです。本当に新しいニュース番組をつくるって、ネット時代ならではの、見ている側とのキャッチボールが存在するニュース番組だと思うんです。

――私(速水)、津田大介さん、古市憲寿さんという『あしたのコンパス』のアンカー陣は、実は2012年にNHKがTwitterで見ている人たちの意見を反映させるニュース番組『NEWSWEB』の第1期のメンバーでもあります。私たちは、あの番組で「ニュースと番組コミュニティ」みたいな部分に取り組んでいたという自覚はあるんです。一瞬、手が届きそうになった希望みたいな感じですけど(笑)。

コミュニティって、うまく運営していかないと、変なものの集まりになってしまったりとか、吹き溜まりになったりとかということ、結構あるじゃないですか。

――まさにそうです。集合知って自動的には働かないというのが『NEWSWEB』で得た経験でした。いいつぶやきをセレクターが選んで、それを番組の出演者がうまく活用する。そのサイクルがうまくできて初めてつぶやく側のレベルも上がっていく。Twitterを活用する番組が、基本的につまらないのって、それができてないからなんです。

いずれにせよ時間がかかるものでしょうね。でも、ニュース番組におけるコミュニティは時間をかけて作り上げていく価値があるものだと思っています。

速水 健朗 編集者・ライター

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はやみず けんろう

編集者・ライター。1973年石川県生まれ。主にメディアや年、消費文化などのテーマを扱う。近刊は『1995年』『フード左翼とフード右翼 食で分断される日本人』。その他主な著書に『ラーメンと愛国』『都市と消費とディズニーの夢』などがある。TBSラジオ「文化系トークラジオLife」のレギュラーを務めるなどさまざまなメディアで活躍中。

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