フジテレビが仕掛けた「ネット専門局」の正体

「24時間ニュースぶっ通し」で何を狙うのか

報道局の記者が出演して、30分もの長い時間しゃべったり、解説委員の方が何時間も解説するとか、ほかでは絶対にできない内容になっていると思います。さらに午前中は、『さらのちゃんねる』というアナウンサーの細貝沙羅(ほそがい さら)が担当する番組があります。これは、芸能から政治までニュースを幅広く扱う番組ですが、一方で細貝という危なっかしいところのあるキャラクターが、番組を通して成長していくところをみんなで見守るという裏テーマもあります。

――みんなで見守る成長型ニュース番組(笑)。

あと、速水さん(注:インタビュアー)にも月曜を担当してもらっていますが、『あしたのコンパス』は、ネットで活躍している言論人の方々にニュースアンカーになってもらって、夜の19時から3時間かけて2つのテーマをたっぷり扱う報道番組です。これもほかではやれないことだと思います。これに関しては、ライバルはラジオだと思っていて、TBSラジオの荻上チキの『Session-22』やJ-WAVEの『JAM THE WORLD』と競合するものにしたいと考えてますよ。

「ニュースって、何か新しいものをぶつけて物質変化をさせると面白くなるんです」

――なるほど。がんばります(笑)。あとは、夜は「真夜中のニャーゴ」というのがあるんですよね。これも報道番組なんですか?

これ、報道というコンセプトとは別です。ネットで話題を広げていくためにしかけた飛び道具ですね。ここに仕込んだ弾としてはBL研究者の金田淳子さんがいます。初回放送は、本人はかなりセーブしてたみたいなんですけど、それでも何かがはじまった感がありましたね。

――見ました。独特の世界観でした。目が怖かったですけど。

それと、土曜日の夜20時からの『週刊安全保障』は、能勢伸之解説委員という非常にミリタリーに詳しい人間が軍事評論家の岡部いさくさんたちと、たっぷり時間をかけて防衛の問題について考える番組があります。

――そちらも見ました。間に入っているMCの子が効果的でした。最新の兵器にやたら詳しいおじさんたち2人の会話に、「ふーん」ってノリで介入していくのがいい感じでした。

「月って人工衛星ですか?」とか言う子なんですよね(笑)。軍事の話ってわかりにくいじゃないですか。特に専門家だけだと空中戦をやるので、見ている人にわかりやすくなるんです。

やりたいことはあくまでも「ニュース」

――企画勝負というのは、フジテレビらしいところですね。

やりたいことはあくまで「ニュース」なんですけど、そこに異分子を入れるということを考えていますね。先ほど話した、朝の『Startup! 180』は、外部の人間が足を踏み入れることのできない報道センターに、一見、似つかわしくないモデルのMCたちが入っていって、いろいろ聞き出すみたいな異物混合の企画なんです。それを言えば僕なんかも報道にとっては異分子なんですよ。異分子が放りこまれるからこそ、化学反応を起こすと思います。

――報道、ニュースというものは、いじりようがないものと考えがちですけど、そうじゃないと。

ニュースって、何か新しいものをぶつけて物質変化をさせると面白くなるんです。たとえばCNNが登場したときの衝撃は、今も記憶しています。「ニュースなんて30分でいい」とみんなが思っていた時代に、24時間ずっとニュースばかりやるチャンネルができた。それが湾岸戦争のときに注目されて、今目の前で何かが起こるかもしれないという体験を視聴者に伝えたんです。

もっとわかりやすい異物だと、『ニュースステーション』のキャスターを務める前に横山やすしさんと2人でやっていたニュース番組『久米宏のTVスクランブル』っていう番組がありました。当然「何をこの人言い出すんだろう?」的なおもしろさがあって、そこで得た感触が次の『ニュースステーション』に結びついているんだと思います。予定調和ではないものの面白さって、ニュースの魅力の部分だと思います。

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