日米韓首脳会談・中国からの報復に緊張高める韓国 「キャンプデービッド」の入場料は途方もなく高かった

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こんな状況にあって韓国側の関係者が嘆くのが、中国人脈の乏しさだ。中韓が国交を正常化させた1992年から30年あまり。各界の交流は深まってはきたものの、率直に言って中国通の「重鎮」はさほど見当たらない。

政治家にしても、そもそも日本のように多選する議員は多くなく、議員交流のパイプも太いとはいえない。政府間協議以外に中国側の真意を聞き出せるような政治的なカードに欠いているという現実がある。

日中韓首脳会談再開への期待

当面、韓国政府当局者らが注視するのは、2019年の中国・成都での開催以来、ずっと止まっている日韓と中国による3カ国首脳会談(サミット)の行方だ。2008年に福岡で始まって以来、3カ国持ち回りで開いてきたが、徴用工問題の進展がないことを理由に日本政府が出席を拒み、中ぶらりんになっている。

2023年4月に林芳正外相が訪中して開いた日中外相会談では、首脳や外相による協議を含め、「日中韓プロセス」を再開させることで一致した。日中韓首脳会談をめぐっては、すでに実務の話し合いは始まっており、この後、段階的にレベルを引き上げ、年末ごろのサミット開催を目指している。

この過程で中国政府がどう出てくるか。日米韓の合意文書に反発し、積み上げてきた協議を壊そうとするのか、あるいは少しでも日韓両政府を中国側に引き寄せるためにサミットの枠組みを積極的に使おうとするのか。

尹政権は今後、北朝鮮の動向に加え、中国政府の出方も大いに気を払わねばいけなくなるところだろう。

箱田 哲也 朝日新聞記者

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はこだ てつや / Tetsuya Hakoda

1988年4月、朝日新聞社入社。初任地の鹿児島支局や旧産炭地の筑豊支局(福岡県)などを経て、1997年から沖縄・那覇支局で在日米軍問題を取材。朝鮮半島関係では、1994年にソウルの延世大学語学堂で韓国語研修。1999年からと2008年からの2度にわたり、ソウルで特派員生活を送った。

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