日米韓首脳会談・中国からの報復に緊張高める韓国 「キャンプデービッド」の入場料は途方もなく高かった

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一方、「前提条件なしに北朝鮮との対話を再開することに引き続き関与」していくことも盛り込まれた。尹政権は昨年の就任早々、北朝鮮に対し「大胆な構想」を提案した。北朝鮮が「実質的な非核化」の動きを見せれば、そのレベルに応じて経済支援などを検討するとの中身だ。

やはりかつて李明博政権が示した、核放棄や経済開放の見返りに国民所得が1人当たり3000ドルになるよう支援するとした「非核開放3000」と似た提案である。

「大胆な構想」にも対話の必要性に触れられてはいる。だが実際には尹政権から対話の呼びかけが発せられることはほとんどない。政権幹部の一人は「圧力をかけ続けた末に、北朝鮮は必ず音を上げて対話に出てくる」と語る。

同様の主張をする関係者は政権内に少なくない。ただ、日米とすれば、その実現可能性はともかく、「対話」に触れないという選択肢はなく、ここでは韓国政府が譲歩した形となった。

そんな北朝鮮への言及は、総じて尹政権にとって満足できる内容になったといえるだろう。実務レベルで頭を痛めたのは、中国問題だった。

韓国が恐れる2017年の悪夢

確かに合意文書は結果として、中国を名指しする部分が先述の1カ所のみとなったが、問題視したのはその量の多さと中身だった。安全保障のみにとどまらず、経済や開発技術など多岐にわたり、名指しせずとも中国を念頭に置いていることは明らかだった。

韓国で中国の報復措置といえば、多くの人々が「THAAD(地上配備型ミサイル迎撃システム〈サード〉)」を連想するだろう。北朝鮮が核・ミサイル実験を繰り返していた2017年、アメリカ軍のTHAADを配備した韓国に中国が激しく反発した。

中国側は韓国への団体旅行を禁じたほか、敷地を提供した韓国のロッテグループに強い圧力をかけ、中国国内で営業していたロッテのショッピングセンターなどが次々に営業停止に追い込まれた。

そんな中国のふるまいに韓国社会の市民感情は悪化の一途をたどっており、とりわけ若い世代の中国のイメージは著しく悪いといわれる。

現役時代は中国関係の仕事にも携わった韓国の外交官OBは「韓米日と中国の関係は古くて新しいテーマだ。そしておおむね、最も弱い立場の韓国があおりを食ってきた。今回の3カ国首脳会談を受け、中国がいつどんな形で具体的な行動に出てくるのかわからないが、韓国の世論の動向を見極めて決めるのではないか」と指摘する。

韓国は2024年春、総選挙を控えている。現在は左派系の野党第1党「共に民主党」が過半数を大きく上回る議席を占め、尹政権の動きを制約している。次回の総選挙で、政権を支える与党が躍進できなければ、総選挙直後でも3年以上の任期を残す尹政権は死に体化しかねない。そのため、中国は総選挙前までは手荒な行動を控えるのではないかとの見方が出ている。

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