池上氏解説「墜落死」のプリゴジンは何者だったか 三角関係のもつれと、敗北に至った背景

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ワグネルとは、民間の軍事会社です。今回ロシア軍が苦戦を強いられたことから、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の雇い兵がウクライナ東部に投入されていると、イギリス国防省が2022年3月28日に発表しました。

民間軍事会社とは日本では聞きなれないですね。2003年にアメリカがイラクを攻撃したときには、アメリカ軍とは別の「ハリバートン」という民間軍事会社が、アメリカ軍に食料や燃料を供給していました。アメリカにも存在するのです。

ハリバートンは、ジョージ・W・ブッシュ(息子のブッシュ)のもとで副大統領だったディック・チェイニーがCEOを務める会社で、イラク戦争で大儲けをしました。ちなみにアメリカやイギリスの民間軍事会社は戦闘には加わりません。高度なガードマン会社であるとともに、軍事用品などを補給する会社です。しかし、ロシアのワグネルが違うのは、実際に兵士として戦闘に加わっていることです。給料をもらって戦闘に参加する私兵組織。

ところが、小泉悠氏の『現代ロシアの軍事戦略』によると、ロシアでは民間軍事会社は法律で認められていないのだそうです。つまり、法律で認められていないから法律に違反する組織は存在しない、という理屈になるようです。プーチン大統領はワグネルに、戦闘のアウトソーシング(外注)をしていたわけです。それが今回の反乱の結果、ロシア国内では解体させられることに。戦闘員はベラルーシで活動を継続していくとみられていました。

「ワグネル」はあの音楽家のロシア語読み

ちなみに「ワグネル」という名前は、ドイツのヒトラーがこよなく愛した作曲家リヒャルト・ワーグナーのロシア語読みです。

もともとワグネルを創設したのは元スペツナズの将校です。「スペツナズ」といえば、軍事に関心が高い人なら知っているはず、旧ソ連軍の特殊部隊です。高度な訓練を受け、いざというときには戦地に送り込まれてあらゆる任務を遂行すると恐れられていた部隊です。その将校だった人物が、スペツナズを辞めて民間軍事会社をつくりました。

この人が実はヒトラーを尊敬していて、ヒトラーが好きだったワーグナーを会社の名前にしたというのです。

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