池上氏解説「墜落死」のプリゴジンは何者だったか 三角関係のもつれと、敗北に至った背景
ワグネルは、中東やアフリカ諸国の内戦にも介入しています。
シリア内戦ではバッシャール・ハーフィズ・アル=アサド政権を支援しました。ワグネルの兵士が大勢シリアに入り、アサド政権の先兵となって反体制派を激しく弾圧。民間人を拷問にかけて虐殺するなど、彼らの悪行が報じられました。
その後、ワグネルという会社は、シリアの石油採掘権、販売権を獲得しています。
スーダンでは、ダイヤモンド鉱山での警備を請け負っています。その見返りにダイヤモンド鉱山の採掘権を手に入れているのです。中央アフリカでは政府に雇われ、反政府勢力を弾圧しています。
いわば「三角関係のもつれ」
最近では、アフリカのマリでの関与が明らかになりました。マリは宗主国がフランスですから、親フランスの国でした。そのマリでイスラム過激派が台頭し、国軍と激しい戦闘を繰り広げていました。フランスも軍事介入し、マリ軍を支援してきました。
そのマリで軍部がクーデターを起こし実権を握ると、親フランス政権から親ロシア政権に変わりました。軍事政権が金を払ってワグネルを雇い入れたのです。
フランスのメディアによると、民間人が大量に殺されたといわれています。
アフリカ利権で莫大な収入を得ていたワグネル。
今回は、ワグネルと近い関係にあったとされるロシア空軍のセルゲイ・スロビキン総司令官も解任されています。武装反乱を起こしたプリゴジンは、ショイグらロシアの官僚の無能さを直訴し、プーチンの自分への“愛”を確かめようとしました。
プリゴジンの乱は、プリゴジン、プーチン、ショイグの「三角関係のもつれ」と考えると、わかりやすいかもしれません。そして、プリゴジンが敗北したのです。
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