藤井聡太叡王×山本一成が語る「AI時代の突破力」 「挑戦を楽しむ姿勢を大事にしたい」

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(撮影:赤松洋太)

ーー『Ponanza』はなぜ名人を倒すレベルまで強くなったのでしょうか?

山本要因はさまざまありますが、棋士の人の棋譜を参考に機械学習をしていたんですが、それだけじゃなく、『Ponanza』同士の棋譜の対戦を何億、何十億回と行って、その結果のフィードバックを得て『Ponanza』が自分自身で賢くなっていったことが大きかったですね。

『Ponanza』同士を対戦させることで、今まで人が知らなかったかたちの手筋、戦法を見つけていって、すごく強くなったんですよ。私自身も「こんなに将棋ってバリエーションがあるのか」と驚かされたくらいです。

ーー藤井さんは、将棋の研究にAIを活用なさっているとのこと。

藤井はい、将棋AIを活用するようになったのは7年前くらいからですね。AIは局面の評価値を数値で判断してくれるので、それを参考にすることで自分自身の形勢判断の力を大きく伸ばせているなと感じます。

ーー『Ponanza』が名人を倒したニュースをどのように見ていらっしゃいましたか?

藤井『Ponanza』の実力はもともと知っていたので驚きはしませんでしたが、「ついにこの時がきたか」という印象でした。

「誰もやらないなら、自分でやろう」

ーー山本さんは将棋AIの開発から転じて、完全自動運転EVの量産を目指すスタートアップTuringを創業していますが、なぜこの分野で起業されたのでしょうか?

山本将棋盤という限定された世界から、より複雑なわれわれの現実世界にフィールドを移しても「正しくプレーできるAI」をつくることを目指すという意味では、取り組んでいる問題は実は変わっていないと思っています。

また、日本の自動車業界は長らく状況が変わっていませんが、規模が大きな産業であることは確かで、うまく変化の波に乗れば社会にイノベーションを起こせる可能性を存分に秘めていると感じました。

今、自動車業界で最も高い時価総額を誇るのはTeslaですから、せっかくこの分野で挑戦するのであれば、Teslaを超える企業を生み出したい。

それくらい大きなチャレンジをしようと決めて、Turingという会社をつくりました。

(撮影:赤松洋太)
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