大谷翔平も噂になったMLBの「呪い伝説」の正体 あらゆる事象が「呪い」としてさかんにネタに

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アストロズ対エンゼルス 6回表エンゼルス2死、中越えにソロ本塁打を放つ大谷(写真:菅敏)

エンゼルス大谷翔平投手(29)が13日(日本時間14日)のアストロズ戦で9試合ぶりの41号ソロを放ち、チームも連敗をストップした。8試合本塁打が出なかったのは大谷にとって今季最長で、その間は「呪い」が米メディアやSNSで話題になった。

グラミー賞を5度受賞した世界的なラッパーのドレイクが、大谷の今年のオールスターユニを着て歩く映像がSNSに投稿されたのは現地4日のこと。その前日の3日には40号が出ており、大谷への「ドレイクの呪い」を心配する声が続出した。

チームもポストシーズン進出を目指して次々と補強したにもかかわらず、トレード期限の8月1日から7連敗するなど苦戦したため、呪いの話題は消えなかった。米専門テレビ局FOXスポーツのチャンネル「FS1」のトーク番組でも大谷が直面している状況について「ドレイクのせい」「ドレイクの呪いは強力だ」とネタにしていたほどだった。

MLBに多数ある「呪い話」

ドレイクの呪いは、スポーツ界では何年も前から有名だった。世界トップのサッカー選手、ボクサー、プロテニス選手らがドレイクとツーショット写真を撮った途端に負けるという現象が次々に起こった。

MLBでも、ブルージェイズのウラジーミル・ゲレロ内野手(24)が新人だった2019年4月にドレイクと交流する様子が映像で撮られており、やはり「呪い」が心配された。実際、有名二世選手としてデビュー前からトップスター並みの注目を集めたゲレロは、1年目に苦戦して新人王も逃している。ただし、その2年後には48本塁打を放ちア・リーグ本塁打王に輝いているため、ドレイクの呪いは結構早く解けたようだ。

呪い伝説はMLBでは昔からあるものだが、最近はその数が増え、さまざまな呪い話が次々と話題になっている。例えばジャイアンツはバリー・ボンズの現役最終年だった2007年から今季まで17年連続で違う選手が左翼の開幕スタメンになっており「ボンズの呪い」といわれている。「メッツではボブルヘッド人形が作られた選手はその後すぐに不振に陥る」「人気ビデオゲームのMLBザ・ショーの表紙を飾った選手はその年にケガをする」などの呪いもある。

今季はレッドソックス吉田正尚外野手(30)が4月3日にメジャー初本塁打を放ったが、キャッチしたファンがホームランボール返却を拒否。チームはその後苦戦し「ヨシダ1号ボールの呪い」と呼ばれた。あらゆる事象が「呪い」としてさかんにネタにされるのは、やはりSNS時代の今、これがネットミームと相性がいいゆえだろう。しかも「呪い」と思いたくなる現象が不思議と起こる。今は呪い伝説全盛期といっていいのかもしれない。

(水次祥子)

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