結婚は、どういうことか。自分とは違う環境で育ってきた他人を受け入れ、価値観や考え方が違う部分は認め合う。そうして、信頼関係を築きながら生活していく……。
ところが、恋愛から何年も離れ、1日24時間を仕事と自分の時間として使ってきた女性は、自分の考えていることが正解で、それを物差しにして物事の良し悪しを判断しがちだ。だから、人を見る目も厳しくなる。
お見合いで出会っても、相手を批判して、相手の欠点を許したり受け入れたりはしない。粗探しばかりした結果、婚活に疲れてしまう。そして、婚活市場から去っていくことになる。
男性を好きになれない50代以上
では、50代以上の女性はどうか。
最近では、50代以上の婚活者が男女ともに増えてきているのだが、50代以上の女性においては、男性を好きになる恋愛スイッチがなかなか入らない人が多い気がしている。
女性は50代になると、結婚に男女の関係を求めるのは、二の次、三の次。それよりも男性の人間性や経済状況をじっくり見極めようとする。なかには「もういい歳をして、そんなことをするのは煩わしい」「お茶のみ友達が探せればいい」と言う女性もいる。
お見合い活動を始めて1年になる、とみえ(54歳、仮名)もまさに、そんなタイプ。公務員で収入が安定しており、見た目が若々しかったので、お見合いはスムーズに組めていた。50代になると、収入のない女性よりも確実な収入のある女性のほうが人気だ。
ところが、交際に入って3回、4回と回数を重ねて会っても、その先に進めない。
「『手をつなぎましょう』と言われたんですが、どうもその気になれなくて」「いい人だとは思うんですよ。でも、1つ屋根の下で暮らせるかというと、そういう気持ちにはならないんですよね」「『車で遠出しましょう』と誘われたのだけれど、車という狭い空間で2人きりになることを考えると、なんだか苦痛なんです」
交際に入った男性と会って、食事をしながら話をするのはいい。しかし、そこから一歩踏み込んだ関係を男性に迫られると、そこで踏みとどまってしまう。
なぜ踏みとどまってしまうかといえば、相手を異性として好きになっていないからだ。ただ筆者が彼女を見ている限り、彼女の中に男性を好きになる恋愛スイッチがあるのかどうかが、どうも確認できない。
共同生活者として1つ屋根の下に暮らすのはいいけれども、そこから1つのベッドに入り、裸で抱き合うことは生々しくて考えたくない。とみえのような50代婚活者(ことに初婚者)は、とても多い気がしている。
人を好きになる恋愛スイッチというのは、年齢を重ねるとともに固くなっていく。さらに積み重ねてきた経験が、自分のライフスタイルや価値観を作って、人間を頑固にする。
人生を共に歩くパートナーを探すのが婚活。条件を見たり、人柄を観察、分析したりすることも大切なことなのだが、関係を築くときにはまず相手を受け入れることから、始めてみたらどうだろうか。
そして、いくつになっても相手を異性として好きになる恋愛スイッチを作動させることが大切なのではないか。
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