20代、30代前半の女性が結婚しやすいもう1つの理由は、確固とした結婚への理想や価値観が出来上がっておらず、考え方が柔軟で、人を好きになる恋愛スイッチがすぐに入るからではないか。
かつて筆者の相談室に、それまでまったく恋愛をしたことがないという、みわこ(30歳、仮名)が入会してきた。
彼女から恋愛を遠ざけたのは、小学校から大学まで女子校育ちだったということもあったようだ。
「リアルに出会って付き合う機会が極端に少なかったんです。大勢が集まる場所に行くと、積極的にしゃべったり自分をアピールしたりできるほうではなかったから、合コンとかもほとんど参加したことがなかったし」
そうして歳を重ねてしまったが、30歳になって急激に結婚を意識した。女子大時代の親友が結婚を決めたことも、気持ちを動かす大きなきっかけとなった。
そこで、筆者はこんなアドバイスをした。
「普通に生活をしていたら、恋愛できる異性、ましてや結婚の候補者になる男性には、なかなか出会えませんよね。出会えたとしてもせいぜい年に1人とか2人。でも、婚活なら、多い人ですと、1カ月に8人くらいとお見合いをしていますよ。まずは、異性と一対一でお会いして会話をする、その経験を積みましょう」
こうしてスタートした婚活だった。
初めてのお見合いで超緊張
初めてのお見合いは、新宿のホテルのティーラウンジだったのだが、筆者が立ち合いに行くと、みわこは顔を硬直させて待ち合わせの場所に立っていた。歯をガチガチ鳴らし、ショルダーバッグを持つ手も立っている足もブルブルと震えていて、その様子は尋常ではなかった。
「大丈夫? すごく緊張しているみたいだけれど、リラックスして、楽しむ気持ちでお見合いをしてきてくださいね」
スタートはこんな調子だったが、お見合いの回数を重ねていくうちに、男性と対峙して話をすることにも、次第に慣れていったようだ。
そして、活動から半年後。「今までお見合いで出会った人の中で、一番話が合うんです。一緒にいて私が自然体でいられます」というともや(33歳、仮名)に出会った。交際に入ってからも順調で、瞬く間に真剣交際に入り、成婚していった。
成婚退会をするときに、みわこはこんなことを言っていた。
「一緒にいる時間を重ねるほどに、ともやさんを好きになる気持ちが大きくなっています。これまで恋愛してこなかったのは、男性に嫌悪感があったからではなくて、恋愛をするのが怖かったというか、勇気が出せなかったからなんだなって思いました。婚活に一歩踏み出して、本当によかったです」
アイドルの“推し”はいたが、リアルな男性を好きになり、触れ合いを持ったのは初めてのこと。自分にリアルな男性を好きになる感情があったことを、ともやとの出会いで知った。
2カ月ほど前には、“秋にはママになります”という連絡があった。
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