「うまいゴルフ」と「強いゴルフ」は違うもの 日本の男子ツアーが低迷している理由

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彼は、この1年間信じられない努力をしたという。それは技量ばかりでなくメンタル面やフィジカル面も含めてだ。スピースが目指したものは、端的に言えば、うまいゴルファーではなく強いゴルファーだと思う。

世の中にはうまいゴルフをする選手は大勢いる。当たり前だ。米ツアーは世界からえりすぐられた一流選手たちの集団だからだ。でも、さらにウィナーズサークル(いつでも勝てる、勝っている軍団)に入っている選手たちを見ると、彼らは、うまいだけでなく、強いゴルフという言葉を感じさせるプレーをしている。

昔からよく、アマチュアゴルファーはうまいゴルフを目指せ、プロゴルファーは強いゴルフを目指せといわれていたけれど、今や強くてうまいゴルフが求められている。

うまいゴルフと強いゴルフは違う

日本の国内ツアーを見ると、確かにうまいゴルフをする選手はいるけれど、強いと印象づける選手が見当たらない。男子トーナメントが低迷しているのは、おそらくその部分だと思う。プロスポーツイベントとしてのゴルフ。それは、見ているファンに強烈な印象を与えられる強い選手の存在だと思う。それがやがてスーパースターになっていくのだと思う。

スピースの出現で、米ツアーは次世代のスーパースター誕生だと早くも大いなる期待感を抱いている。それは、彼が強くてうまく、さらに人間性を感じさせる言動があるからだと思う。そういう選手こそがグリーンジャケットを身にまとうことができるのだ。

週刊東洋経済 5月16日号

三田村 昌鳳 ゴルフジャーナリスト

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みたむら しょうほう

1949年生まれ。大学卒業後、『週刊アサヒゴルフ』副編集長を経て、77年にスポーツ編集プロダクション(株)S&Aプランニングを設立。日本ゴルフ協会(JGA)オフィシャルライター、日本プロゴルフ協会(JPGA)理事。逗子・法勝寺の住職も務める。

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