日本人はもう気軽にマグロを食べられなくなる 「中国に買い負ける」マグロ市場の悲しい実態

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大手回転寿司チェーンの場合は、養殖マグロの仕入れを年間で契約していることが多く、今のところはマグロ相場の高騰や、品薄などの影響を受けていないという見方もあります。ただ、今の幼魚が成魚となる2、3年後はどうなるか不透明です。

水産資源の保護において漁獲枠の設定は有効な手段のひとつでしょう。しかし、漁獲枠の増減は漁業者の収入に直結する問題であり、水産業の健全な存続のためにも、慎重に設定されなければいけません。

回転寿司チェーンに渡っていたヤミマグロ

2023年に入って表面化した大間マグロの不正流通問題も、漁師による漁獲枠への不満が背景にあったといえます。

本州の最北端・青森県の大間漁港で水揚げされるクロマグロは、「黒いダイヤ」とも呼ばれ、国産マグロのなかでも最上級品として認識されています。大間の周辺漁港はサンマやイワシ、スルメイカなどが多く存在し、マグロにとっての栄養源が豊富なため、大間マグロは脂が乗っていて味が良いとされています。

ちなみに豊洲市場の初競りでは、大間マグロが2023年まで12年連続で、その日の最高値で落札される「一番マグロ」となっています。

そんな一大ブランドに、疑惑が浮上したのは2022年夏のこと。青森県による調査で、大間周辺の3漁協の漁師20人が前年のクロマグロの漁獲量計59・8t分を報告していなかったことが明らかになったのです。

さらにその後、新たな未報告分が明らかとなり、水産業者2人は合わせて74tの漁獲量を県に報告しなかったとして、漁業法違反容疑で逮捕・起訴されました。同年度に、青森県に割り振られていたクロマグロの漁獲量は約710tなので、この「ヤミ漁獲」がそれなりの規模だったことがわかります。

ヤミ漁獲されたクロマグロは、水産卸売会社に売却され、その後、大間マグロとして回転寿司チェーンに卸されていたと報じられました。

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