パナソニックの利益を支える祖業の「電設資材」 国内に加え世界でも2030年にシェア1位を狙う

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日本が高度経済成長期に経験したように、急速に電化製品が家庭へ普及していくだろう。すでにシェア4割でトップの座にあるパナソニックだが、比率をさらに伸ばしてトップシェアを確たるものにできれば、利益を取り込む余地は大きい。

もちろん課題はある。それは欧米の大手メーカーや現地メーカーとの競争だ。インドは急成長が見込める市場だけに、フランスのシュナイダーやルグラン、ドイツのシーメンスなどが参入し、すでに競争が始まっている。現地メーカーも追い上げてくるだろう。

実際、アジアで高いシェアを誇るパナソニックだが、ほかのメーカーとの競争で勝ち切れていない市場もある。1993年に北京、2004年に上海に工場を作った中国市場だ。

アンカー社は買収当時から拡大

「グローバルメーカーも食い込めず、トップでもシェアが数%の難しい市場だ」。パナソニックEW社の電材&くらしエネルギー事業部で電設資材BU事業企画部を率いる松本亮部長はそう話す。

そこで、インドでは先述したように現地企業のアンカー社を買収した。すでに一定のシェアを持つ現地ブランドを買うことで、ゼロからのスタートを避けた。

買収から15年の間に、旧・アンカー社では製造工程の刷新から自動化、新工場の建設などさまざまな取り組みを進めた。それらにより現地子会社の売上高は、買収当時の6.4倍となる約830億円まで成長している。

買収当時のインド・アンカー社
買収後のインド・アンカー社
2007年に買収した当時のインド・ハリドワール工場(上)。最新のスリシティ工場(下)は自動化が進み、ほとんど人がいない(写真:EW社)

競合と比べた強みについては「開発・製造・販路拡大まで一貫して自社で行っているのが当社の強み。自動化した工場を持つことで、製造力でも大きな差がある」。松本部長の言葉からにじみ出ている成長への自信は、数字にも表れている。

EW社は海外の電材事業で2024年度に2700億円の売上高目標を掲げていたが、今年度に入ってこれを上方修正し2900億円を目指す。2022年度比で約2割増の成長だ。

パナソニックHDは今後、車載電池やIT分野でますます巨額の投資が必要になる。全社を支える存在として、電材ビジネスにかかる期待は日に日に増している。

梅垣 勇人 東洋経済 記者

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うめがき はやと / Hayato Umegaki

証券業界を担当後、2023年4月から電機業界担当に。兵庫県生まれ。中学・高校時代をタイと中国で過ごし、2014年に帰国。京都大学経済学部卒業。学生時代には写真部の傍ら学園祭実行委員として暗躍した。休日は書店や家電量販店で新商品をチェックしている。

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